失語症の症状

失語症の症状

失語症は「聞いて理解する」「話す」「読んで理解する」「書く」のいずれも障害されます。 失語症のタイプによってそれぞれの重症度は異なります。 また、計算の障害も伴う事が多いです。

「聞いて理解する」ことの障害
聴覚的理解の障害は程度の軽重はあってもすべての失語症者に認められる症状です。
理解障害に影響を与える因子は、単語の使用頻度や抽象性、文の長さや構文の複雑さ、発話の速度などです。
ウェルニッケ領野を中心とした病巣では、聴覚的理解の障害が目立ってきます。言語音そのものの認知が障害されるときは純粋語聾とよばれますが稀な病態です。環境音や音楽の認知障害とともに聴覚性失認として論じられることが多いです。

「話す」ことの障害
意図した言葉をうまく出せない状態を喚語困難と呼びます。失語の中核症状であり、すべての失語症者に認められると言っても過言ではありません。状況に応じて呼称障害や語想起障害として区別されています。
物品の名称が言えないため、その用途を述べたり、回りくどい説明を加えたりする。迂言や迂回表現などと呼ばれています。
喚語がうまくできないこともあれば、喚語したものが誤っていることもあり、字や語が誤って発せられる現象を錯語とよびます。
単語が他の語へ置き換えられるとき語性錯語といいます。
意味的関連がある単語へと置き換わる語性錯語を意味性錯語と呼びます。無関係な語であれば無関連錯語と呼ばれています。

単語の特定の字の誤りを音韻性錯語、ないしは字性錯語といいます。
音韻性錯語を特徴とする失語は伝導性失語やウェルニッケ失語です。
縁上回や弓状束の障害を示唆する局在性が高い症状です。
音の置換が多いときは意味がとれなくなります。単語レベルであれば新造語とよばれ、発話全体の意味が不明となればジャルゴンとよばれています。 ジャルゴンはウェルニッケ失語で出現してくる症候です。

ブローカ失語で観察される特有の構音やプロソディーの障害を発語失行(アナルトリー)と呼びます。 一貫性のある構音の誤りである構音障害と異なり、発語失行は一貫性のない構音の誤りが特徴で、プロソディー(発話のスピードやリズム、抑揚など)が障害されてくる。この非流暢性の発語障害の責任病巣は中心前回と考えられています。

個々の単語の喚語は可能でも文の構成に障害をきたすことがあり、失文法とよばれ、とくに助詞や助動詞が脱落し、名詞のみがぼつりぽつりと発語される電文体が特徴です。ブローカ失語で観察される症状です。

「読んで理解する」「書く」ことの障害
失語症では、読み書きにも障害をきたしてきます。失語症で出現してくる読み書きの障害は失語性失読や失語性失書とよばれています。
一方、音声言語に障害を示さずに、文字言語、すなわち、読み書きのみに純粋な障害を呈してくることがあります。純粋失書や失読失書、純粋失読などが代表的な病態です。
純粋失書は前頭葉性純粋失書と頭頂葉性純粋失書に分類されます。
失読失書は側頭葉後下部病変や角回病変により出現してくる。純粋失読の発現には後頭葉や脳梁膨大の障害が関与します。

「計算」の障害
計算機能は言語機能と独立していると考えられていますが、多くの失語症者では計算障害を伴っています。標準的な失語症検査では計算能力も同時に評価しています。
失計算の責任病巣は左の頭頂葉(特に角回)に想定されることが多いですが、種々部位の損傷による計算障害も報告されています。