頭痛 脳卒中一般の管理

頭痛 脳卒中一般の管理

推 奨
脳卒中によって起こる頭痛は多くは短期間で消失するが、頭痛が強いときは非麻薬
性鎮痛薬を使用しても良い(グレードC1)。

エビデンス
 頭痛は脳卒中発症直後に1837%に生じ、出血性脳卒中では高頻度で、程度も強い。若
年、女性、脳内出血、椎骨脳底動脈系、虚血性心疾患が頭痛の有意な危険因子である。頭痛と重症度、病巣の大きさ、皮質損傷、転帰、死亡とは有意な関係はない。脳梗塞でも頭痛と病巣の大きさ、場所には関係がない。
 虚血性脳血管障害の頭痛は74%が軽症で25±28時間で消失、出血性脳血管障害では70%で耐え難いほど重症で、64.5±36.5時間持続した。頭痛は70歳以下、非喫煙者、片頭痛の既往のある患者、一過性意識障害のあった患者、嘔気・嘔吐、視野欠損のある患者に多く、また、拍動性頭痛の既往のある患者、女性に多い。動脈解離では特に頭痛がみられ、一方塞栓性では頭痛は少ない。また、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)の使用にあたっては、アスピリン服用が脳梗塞超急性期の組織プラスミノゲンアクチベーター(rt-PA)療法における高齢者の重篤な脳出血の危険因子であることに留意する必要がある。

http://www.jsts.gr.jp/guideline/017.pdfより。

嚥下反射惹起時間

嚥下反射惹起時間

 Command Swallow(指示嚥下、命令嚥下)などの咀嚼を伴わない嚥下の場合、嚥下反射の開始は、食塊の形態や量にもよるが、多くは食塊の先端が口腔内から咽頭腔へ移る直前あるいは直後に始まり、少なくとも食塊の先端が梨状陥凹に到達すると開始される。これよりも嚥下反射の開始が遅れる場合は異常所見である。

 一方、咀嚼を有する嚥下の場合、食塊は咀嚼をされながら咽頭腔に移送されることが一般に認められ、食塊の先端が梨状陥凹に達したのちにも嚥下反射が開始されないことは、正常例でも認められる。

嚥下障害 対症療法 脳卒中一般の管理


嚥下障害 対症療法 脳卒中一般の管理

推奨
1.嚥下障害が疑われる患者では嚥下造影検査(VF検査)の施行が望ましいが、ベッドサイドでの簡便なスクリーニング検査としては、水飲みテストが有用である(グレードB)。

2.検査の結果、誤嚥の危険が高いと判断されれば、適切な栄養摂取方法および予防を考慮することが推奨される(グレードB)。

エビデンス
脳幹部、多発性梗塞、広範囲の梗塞などは、嚥下障害の高危険群である。嚥下の障害
は誤嚥性肺炎を引き起こし、予後を不良にするので、食事を開始するにあたっては適切な
評価が重要である。嚥下造影検査(VF検査:videofluoroscopicswallowexamination)は誤嚥の評価方法として確立されているが、X線透視下で行わなければならないなど手技が繁雑な点もある。水飲みテストは、嚥下造影検査と比べても、比較的感度が高くベッドサイドで簡便にできる検査として有用である。その他唾液の嚥下、半固形食、水と段階的に嚥下機能を評価していく方法も考案されている。検査の結果、誤嚥の危険が高いと判断されれば、適切な食物形態または摂取方法を考慮することが必要である。
L-酒石酸吸入により不随意の反射性咳嗽が減弱もしくは消失している脳卒中症例に対しては、経口摂取以外の栄養管理法を選択することにより、本法による判定を行わない場合
に比して、誤嚥性肺炎を有意に抑制することができる。
嚥下試験中に誤嚥のない脳卒中患者を対照として、VF検査を指標とした時、VF検査に
て誤嚥が認められる脳卒中患者では、非観血的酸素飽和度測定法によりベースラインから
酸素飽和度(SpO2)が2%以上低下することで、ある程度の推測ができるとの報告がある
。また、内視鏡検査を指標とした時、水飲みテスト中に“むせ”およびSpO22
以上の低下があることの感度と特異度が高いとの報告がある


発話明瞭度の評価尺度


発話明瞭度とは「発話の了解度(understand ability of speech)」と定義され口頭コミュニケーションの伝達能力の程度を示すものであり,一般に発話機能の総合的な重症度を判定する指標とされている。.

発話明瞭度の評価尺度
1.よくわかる 
1と2の間 
2.時々わからない語がある程度 
2と3の間 
3.聞き手が話題を知っているとどうやらわかる程度 
3と4の間 
4.時々わかる語があるという程度 
4と5の間 
5.全く了解不能 

日本語版MoCA 軽度認知障害スクリーニング (Instruction manual of Japanese version of Montreal Cognitive Assessment)


日本語版MoCA 軽度認知障害スクリーニング Instruction manual of Japanese version of Montreal Cognitive Assessment

MoCAは軽度認知機能低下のスクリーニングツールです。
多領域の認知機能(注意機能、集中力、実行機能、記憶、言語、視空間認知、概念的思考、計算、見当識)について、約 10 分という短い時間で評価することができます。合計で 30 点満点であり、日本語版では 26 点以上が健常範囲と考えられています。検査終了後、教育年数が12年以下の場合には 1 点を加えるようにします(最高 30 点)。
合計得点が 26 点以上であれば健常範囲と考えられています。

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臨床検査データ 検査 基準値 解釈


臨床検査データ
検査
基準域
解釈
CK
50~200U/l
(↑)骨格筋や心筋、脳障害
CRP
0.2~0.5mg/dl
(↑)感染、組織障害、炎症
BAP
7.9~29.0U/l
(↑)骨粗鬆症、骨折治癒期
血清尿酸
2.0~7.0 mg/dl
(↑)痛風
赤沈
男性2~10mm/1h
女性3~15 mm/1h
(↑)感染症、炎症
赤血球(RBC
男性410~530×104/μl
女性380~480×104/μl

ヘモグロビン(Hb
男性13~17/dl
女性12~15/dl
(↓)貧血
(↑)赤血球増加症
ヘマトクリット(Ht
男性40~49
女性36~45

白血球(WBC
4000~8000/μl
(〈3000)再生不良性貧血など
(〉11000)最近感染、白血病など
血小板(Plt
12~40104/μl
(〈10×104)紫斑病、肝硬変など
(〉60×104)慢性炎症疾患など
血管内皮系分子マーカー(t-PA
8ng/ml以下
(↑)血管内皮細胞の障害、動脈硬化
DNA抗体
+)全身性エリテマトーデス
抗アセチルコリン受容体抗体
0~0.2nmol/l
(↑)重症筋無力症
TPHATPLA
+)梅毒
クオンティフェロンTB-2G
0.1 lU/ml
+)結核
HA抗体
4.99inhibition%以下
(↑)過去のA型肝炎感染
LgM-HA抗体
0.7以下
(↑)A型急性肝炎感染
HBs抗原・抗体
+)過去のB型肝炎感染症と感染状態
HCV抗体
0.9以下
(↑)C型肝炎感染
HIV-1
+HIVに感染
ICTP
+↑)悪性腫瘍の骨転移
尿比重
1.0071.025
(〈1.015)尿路閉塞
(〉1.016)脱水
尿蛋白
0~0.15g/day
(↑)腎疾患、膠原病
尿糖
+)高血糖状態
尿クレアチン
男性0.2~100ml/day
女性0.2~200ml/day
(↑)筋萎縮性疾患、廃用性筋萎縮
髄液圧
60~180mmH20
(〉181)髄液炎、脳浮腫
(〈50)重症脱水など
髄液総蛋白量
15~45mg/dl
(↑)炎症、脱髄など
関節液内白血球数
50/mm3以下
200~2000)非炎症性関節疾患
2000~50000)炎症性関節疾患
(〉50000)感染性関節疾患

倉敷病院前脳卒中スケール (KPSS:Kurashiki-Prehospital-Stroke-Scale)

倉敷病院前脳卒中スケール (KPSS:Kurashiki-Prehospital-Stroke-Scale)

川崎医科大学と倉敷市消防局が協議し、病院前脳卒中の評価としてKPSSを作成。病院前に簡便かつ迅速に脳卒中の重傷度を評価する事が可能となり、病院搬送時間の短縮、病院側の緊急受入れ体制が整う。

KPSSは各項目で点数をつけて合計点で評価する。正常は0点で点数が高いほど重症となります。t-PA静注療法の対象となるNIHSSスコア5~22点は、KPSSでは3~9点に相当する。

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倉敷・プレホスピタル・脳卒中スケールとは
KPSS評価表

脳梗塞の回復期に脳で行われていること QLifePro医療ニュース

脳梗塞後2日から1週間で障害を受けていない反対側の脳が活性化する。そして神経回路の再編成後、健常な脳が障害を受けた脳の役割を担うことで機能の回復が起きていると以前に研究グループは報告した。今回は、脳の働きが活性化している過程でグリア細胞 (神経細胞の ...

詳しくはこちら↓
脳梗塞の回復期に脳で行われていること - QLifePro医療ニュース

脳梗塞 若くても発症 チェックは 「FAST」で 日本経済新聞

脳の血管が詰まる脳梗塞は中高年の病気と思われがち。しかし、30代のア ナウンサーが発症するなど若い人でも 注意が必要だ。生まれつきの要因のほか、首を回した際に動脈の膜が裂ける 例などもある。脳梗塞は命の危険があり、助かってもマヒなどの後遺症が残りやすい。

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脳梗塞 若くても発症 チェックは「FAST」で - 日本経済新聞

シンシナティ病院前脳卒中スケール CPSS

シンシナティ病院前脳卒中スケール CPSS

どれか1つでも異常を認めた場合には、脳卒中を強く疑う

顔面の下垂 歯を見せるように、あるいは笑顔を指示
正常 両側が等しく動く
異常 片側がもう一側のように動かない

上肢の動揺 目を閉じさせ、10 秒間上肢をまっすぐに伸ばすよう指示
正常 左右とも同じように挙がる、または左右ともまったく挙がらない
異常 片方が挙がらないか、もう一方と比べてふらふらと下がる

言語 「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」(例)を繰り返すよう指示
正常 正しい言葉を明瞭に話す
異常 不明瞭な言葉、間違った言葉、またはまったく話せない

脳卒中病院前救護(PSLS:Prehospital Stroke Life Support)の分野ではかなり有名な方法。

ストレス潰瘍の予防策 人工呼吸器


ストレス潰瘍の予防策 人工呼吸器

背景
ストレス潰瘍は人工呼吸中の重大な合併症のひとつである。人工呼吸中はストレス潰瘍の予防を行うべきである。一方で、胃内 pH を上げると VAP の危険性が増すので、抗潰瘍薬の使用にあたっては注意する。

実施方法
(1) 胃内 pH を上げないスクラルファートを用いる。
(2) 明らかな消化管出血を来している例、消化性潰瘍の既往がある例、重症熱傷、重症頭部外傷、頭蓋内出血、ショック患者、経口投与が不可能な場合には H2‐ブロッカーを使用する。
(3) H2‐ブロッカーの代わりにプロトンポンプ阻害薬を使用してもよい。
(4) 毎日ストレス潰瘍予防策が適切に行われているか確認する。


人工呼吸器 自発呼吸試験実施の判断

人工呼吸器 自発呼吸試験実施の判断

(1) 前提条件
1. 原疾患が治癒または改善傾向にある。
2. 気道分泌物の除去(咳、喀出など)が可能である。

(2) 開始基準
1. 酸素化が十分である:例 PEEP 5cmH2O PaO2/FIO2 比が 150 以上。
2. 血行動態は安定している:例 HR 140/分以下、循環作動薬が使用されていない(あるいは少量のみ:例 ドパミン 5μg/kg/min)、致死的な不整脈がない。
3. 解熱している:例 体温が 38.3℃未満。
4. 意識状態は安定している:例 指示動作可能である。施設で用いている鎮静スコアで覚醒状態である
5. 電解質・酸塩基平衡に異常がない:例 重度の呼吸性/代謝性アシドーシス、カリウム値の異常がない。

自発呼吸試験の進め方
自発呼吸試験は、人工呼吸中と同じ酸素濃度の T ピース下での自発呼吸か、5cmH2O 程度の PEEP pressure support 5-7 cmH2O 程度の補助呼吸下で行う。この条件で 30 分間観察することを原則とし、決して 120 分を越えない。特に開始後 5-10分間に、頻呼吸などの呼吸負荷による変化が見られることが多いので、この間は必ずベッドサイドで患者の状態を頻繁に観察する。

(1) 用いる指標を以下に示す。T ピースの場合は、換気量モニターなどを用いて 1 換気量を測定する。以下の条件を満たすときに自発呼吸試験合格と判断する。
1. f/VT60-105。※
2. 高血圧・低血圧(収縮期圧:>180mmHg <80mmHg)、頻脈・徐脈(>140/min
<60/min20%以上の変化)の出現がない。危険な不整脈の出現がない。

(2) 患者のアセスメント
1. 意識状態の変化:不穏状態の出現、不安の悪化がない。
2. 循環不全のサイン:末梢の冷感、冷汗の出現がない。
3. 呼吸負荷のサイン:呼吸パターンの悪化、呼吸補助筋の使用、奇異呼吸の出
現がない。

f/VT:呼吸回数(/分)を 1 回換気量(L)で割った指標。呼吸回数が多いほど、1回換気量が少ないほど多くなる。浅く速い呼吸の指標であり、rapid shallow breathing index (RSBI) と呼ばれる。

自発呼吸試験合格と判断した場合
自発呼吸試験で離脱可能と判断された場合には、気管チューブの抜去の手順に進む。
もし、抜去までしばらく時間がある場合には、抜管するまで呼吸補助を再開する。尚、本稿では気管チューブ抜去の基準や手順については示さない。

自発呼吸試験不合格の場合
試験前の呼吸補助のレベルまでもどす。自発呼吸試験は 1 1 回とする。試験は午
前中に行う。

http://www.jsicm.org/pdf/jinkou_an.pdfより

Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)

Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)

スコア
用語
説明
+4
好戦的な
明らかに好戦的、暴力的、スタッフに対する差し迫っ
た危険
+3
非常に興奮した
チューブ類またはカテーテル類を自己抜去:攻撃的な
+2
興奮した
頻繁な非意図的な運動、人工呼吸器ファイティング
+1
落ち着きのない
不安で絶えずそわそわしている、しかし動きは攻撃的
でも活発でもない
意識清明な、落ち着いている
-1
傾眠状態
完全に清明ではないが、呼びかけに 10 秒以上の開眼お
よびアイコンタクトで応答
-2
軽い鎮静状態
呼びかけに 10 秒未満の開眼およびアイコンタクトで応
-3
中等度鎮静状態
呼びかけに動きまたは開眼で応答するがアイコンタク
トなし
-4
深い鎮静状態
呼びかけに無反応、しかし、身体刺激で動きまたは開
+5
昏睡
呼びかけにも身体刺激にも無反応

人工呼吸中はしばしば鎮静・鎮痛薬が用いられる。
しかし、過鎮静は人工呼吸期間を延長し、VAP の発生頻度を増す。また不適切な鎮静はせん妄の原因となり、生命予後を悪化させる。過鎮静を予防し適切な鎮静状態を維持するよう、鎮静スケールで評価する。

実施方法
(1) Richmond Agitation-Sedation Scale RASS
Sedation-Agitation Scale (SAS)Ramsey scale などが知られている。いずれを
用いてもよいが、集中治療領域では RASS(資料参照)を使用することが望まし
い。
(2) RASS のスコアは‐30 となるように投与量を調節する。必要に応じて、中断・
減量を検討する。
(3) 看護記録に鎮静・鎮痛薬の使用状況とともに鎮静評価の記載欄を設ける。評価は
毎日数回行い、看護記録に記載する。
(4) 筋弛緩薬は特別な理由がある時以外には持続投与しない。
(5) 医療チームの中で鎮静の目的と目標スコアにつき情報交換を行い、共通認識を持
つ。