口腔・鼻腔吸引で注意を要する場合

口腔・鼻腔吸引で注意を要する場合

・頭蓋内圧亢進状態
吸引の機械的刺激によって交感神経の興奮が起こり、頭蓋内圧上昇を誘発する。
十分なモニタリングと意識状態、神経学的変化の観察が必要となる。

・気道の過敏性が亢進している状態(吸引刺激で気管支痙攣が起こりやすい状態)
気道平滑筋の収縮が誘発されて起こる。吸引によって喘息のような症状を来した場合はすぐに吸引を中止する。

・吸引刺激によって容易に不整脈が出やすい状態
交感神経・副交感神経の興奮によって起こる。不整脈の重症度によってはモニタリングが必要となる。

・吸引刺激によって病態悪化の出現がある場合
基本的に禁忌となる。治療方針を明確にし、医療者間の周知、患者・家族との共有が必要となる。

・気管内分泌物を介して、重篤な感染症のある場合
基本的に標準予防策(スタンダードプリコーション)の実施でよいが、防護用具や廃棄物(カテーテルなど)の取り扱いなどで周囲を汚染することのないよう気をつける。