失神 原因

失神 原因

適切な脳循環を維持するために以下の機構が生体には備わっている。

脳血管の自動調節機構
血圧の変動にもかかわらず脳への血流量を維持する機構で、生理的状態の下では、収縮期血圧が70150mmHgの範囲内では脳血流量は一定に保たれる。

脳血管局所の代謝性・化学性調節機構
PO2が低下した場合やPCO2が上昇した場合に脳血管の拡張を促す。

圧受容器反射機構
動脈圧が低下した際に、反射性に交感神経緊張が亢進し心拍数を増加、心収縮性を増加、末梢血管抵抗を増加させて、動脈圧を維持する。

循環血液量調節機構
腎臓、ホルモンなどにより循環血液量を維持する機構であり、瞬時に動員されるものではないが、この機構が不十分であると失神を生じ易くなる。


これらの代償機転の動員にもかかわらず、脳循環の自動調節機構の範囲を超えて血圧が低下し、しかもある一定以上の時間持続した場合に意識消失が生じる。従って、失神は、

①心拍出量の低下
②下半身への過度の血液プーリング
③脳血管抵抗の過度の上昇


が単独で、あるいは複合して作用する結果生じる。