肺気腫のHRCT画像 Goddard分類

肺気腫のHRCT画像 Goddard分類

Goddard分類-1点:径1cm以下の気腫病変が散在する。
Goddard分類-2点:気腫病変が癒合して大きな低吸収領域が認められる。
Goddard分類-3点:気腫病変の癒合がさらに進み、低吸収領域がかなりの部分を占める。
Goddard分類-4点:大部分が肺気腫病変で健常肺はわずかに残るのみ。

HRCTでは気道病変を示唆する所見も検出が可能で、COPDの病型分類において有用です。
HRCTでは、肺気腫病変はLAA(low attenuation area、低吸収領域)として描出されます。
各LAAは正常肺とは明確に区別されますが、被膜を持たないことが特徴です。
胸部単純X線画像による早期COPDの検出は難しいですが、気腫優位型COPDの早期検出においてはH RCT(highresolution CT)が有用です。

COPDの臨床所見

COPDの臨床所見

  • 患者の多くは喫煙者であり、労作性の呼吸困難と慢性の咳嗽、喀痰が主症状です。
  • COPDに典型的な身体所見は重症になるまで出現しないことが多いです。
  • 視診上、口すぼめ呼吸、ビア樽状の胸郭(barrel chest)と称される胸郭前後径の増大、時に胸郭の奇異性運動(Hoover's sign)を認めます。
  • 打診では肺の過膨脹のため鼓音を示し、触診では胸郭の拡張運動域が全体に減少します。
  • 聴診では、しばしば呼吸音が減弱し、呼気延長を認め、強制呼出時の喘鳴を認めることもあります。
  • 進行すると体重減少や食欲不振も問題となり予後不良の因子となります。
  • 高二酸化炭素血症を伴う場合、朝方の頭痛を訴えます。
  • 右心不全の悪化により呼吸困難がさらに増悪したり、全身のむくみや夜間の頻尿などが観察されますが、肺性心を伴う患者で急激に体重が増加する場合は、右心不全の悪化を考えます。
  • 心理的抑うつ状態や不安などの精神的な症状もみられることが多いです。

MRC息切れスケール

  • Grade 0 息切れを感じない
  • Grade 1 強い労作で息切れを感じる
  • Grade 2 平地を急ぎ足で移動する、または緩やかな坂を歩いて登るときに息切れを感じる
  • Grade 3 平地歩行でも同年齢の人より歩くのが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む
  • Grade 4 約100ヤード(91.4m)歩行したあと息継ぎのため休む、または数分間、平地歩行したあと息継ぎのため休む
  • Grade 5 息切れがひどくて外出ができない、または衣服の着脱でも息切れがする

COPDの病期分類

COPDの病期分類

0期:COPDリスク群
スパイロメトリーは正常
慢性症状(咳嗽、喀痰)

I期:軽症COPD (Mild COPD)
FEV1/FVC<70%
FEV1≧80%predicted
慢性症状(咳嗽、喀痰)の有無を問
わない

II期:中等症COPD(Moderate COPD)
FEV1/FVC<70%
50%≦FEV1<80%predicted
慢性症状(咳嗽、喀痰)の有無を問わない

III期:重症COPD (Severe COPD)
FEV1/FVC<70%
30%≦FEV1<50%predicted
慢性症状(咳嗽、喀痰)の有無を問わない

IV期:最重症COPD(Very Severe COPD)
FEV1/FVC<70%
FEV1<30%predicted
あるいはFEV1<50%predicted 
かつ慢性呼吸不全あるいは右心不全合併

※FEV1値は原則として気管支拡張薬投与後の値を用います。

COPDにおける病期分類は気流制限の程度を表す1秒量(FEV1)で行い、重症度を反映します。
中等症以上では重症度を適切に反映しないため、FEV1/FVC値を用いません。
病期分類には気管支拡張薬投与後のFEV1を用います。
病期分類は0期:リスク群、I 期:軽症(FEV1≧80%predicted)、II期:中等症(50%≦FEV1<80%predicted)、III期:重症(30%≦FEV1<50%predicted)、IV期:最重症(FEV1<30%predictedあるいはFEV1<50%predictedで慢性呼吸不全あるいは右心不全合併)としています。

気流制限可逆性試験

気流制限可逆性試験

1. 検査は原則として急性呼吸器感染症のない臨床安定期に行うこと。

2. 短時間作用型気管支拡張薬は少なくとも6時間、長時間作用型気管支拡張薬は24時間中止したうえで検査を行うこと。

3. 検査に用いる気管支拡張薬は、通常、短時間作用型吸入用β2‐刺激薬を原則とするが、抗コリン薬あるいは両者の併用であってもよい。

4. 投与方法はスペーサーを用いたMDI 吸入、ネブライザー吸入のいずれであってもよい。

5. 気管支拡張薬吸入後の検査は吸入後30~60分後に行うべきものとする。

6. 気管支拡張薬吸入効果の評価は、吸入前のFEV1と吸入後FEV1を比較して、200mL以上の増加かつ前値に対して12%以上の増加があったときに有意と判定する。

COPD 外因性危険因子 内因性危険因子

COPD 外因性危険因子 内因性危険因子

COPDの危険因子には喫煙・大気汚染などの外因性危険因子と、患者側の内因性危険因子があります。

COPDの最大の外因性危険因子は喫煙ですが、喫煙者の一部で発症するため、喫煙に対する感受性の高い喫煙者が発症しやすいと考えられています。
他に職業上の粉塵や化学物質(蒸気、刺激性物質、煙)、受動喫煙、呼吸器感染などがある。

遺伝性疾患であるα1‐アンチトリプシン欠損症は、最も確かな内因性危険因子です。しかし、日本においては非常に稀と言われています。。
その他、COPDの病因に関与する候補遺伝子はいくつかありますが、十分なエビデンスは得られていません。

STAS-J STAS日本語版

STAS-J STAS日本語版

ホスピス・緩和ケアにおける評価尺度として、STAS (Support Team Assessment Schedule)が使用されている。

医師、看護師など医療専門職による「他者評価」という方法をとる。
そのため、患者さんに負担を与えないという利点がある。

STAS-Jは、「痛みのコントロール」「症状が患者に及ぼす影響」「患者の不安」「家族の不安」「患者の病状認識」「家族の病状認識」「患者と家族のコミュニケーション」「医療専門職間のコミュニケーション」「患者・家族に対する医療専門職とのコミュニケーション」の9項目からなる。

評価表・マニュアルは下記を参照ください。
http://plaza.umin.ac.jp/stas/

CDS (Cancer Dyspnoea Scale) 呼吸困難の評価

CDS (Cancer Dyspnoea Scale) 呼吸困難の評価

がん患者の呼吸困難調査票で、自己記入式調査票です。
CDSは呼吸努力感に関する5項目の質問、呼吸不快感に関する3項目、呼吸不安感に関する4項目の合計12項目の質問で構成されています。
各質問に対し、1から5までの5段階の回答が記されています。
(1:いいえ、2:少し、3:まあまあ、4:かなり、5:とても)
患者は自分の状態にあった番号にチェックします。
調査に要する時間はおよそ2分と簡便です。
CDSの使用にあたっては著作者の許諾を必要としません。

マニュアルと調査票は下記を参照下さい。
http://plaza.umin.ac.jp/~pcpkg/cds/cds-manual.pdf

mMRC質問票 (修正MRC質問票)

mMRC質問票 (修正MRC質問票)

呼吸困難(息切れ)を評価する質問票です。

グレード0
激しい運動をしたときだけ息切れがある。

グレード1
平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れが
ある。

グレード2
息切れがあるので、同年代の人より平坦な道を歩くのが遅い、あるいは
平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まる
ことがある。

グレード3
平坦な道を約 100m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる。

グレード4
息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときに
も息切れがある。



るいそうと脱水

るいそうと脱水

るいそうが顕著な患者では、食事摂取量の低下による栄養素の欠乏だけでなく、脱水にも注意が必要となる。通常私たちは食事から約 800mLほどの水分を摂取し、その食物を消化、吸収することによってさらに 300mL ほどの代謝水を得ている。
しかし食事摂取量が低下すれば、当然 800mL ほどの水分は得られず、また代謝水も減少する。さらには経口摂取水分量も減少し、容易に脱水を来す危険をもつことになる。
主要栄養素の欠乏と合わせ水分欠乏、脱水のアセスメントも忘れずに行うように心がけると良い。
脱水時には皮膚にしわがより、表面が透けたようになる「パラフィン様皮膚」が観察される。また、水分およびエネルギー、蛋白質、脂肪が複合的に減少している場合もある。
食事摂取量や摂取栄養素量のモニタリングと合わせ、皮膚の状態の観察も行うと良い。

口腔乾燥症の臨床診断基準

口腔乾燥症の臨床診断基準

0 度(正常) 1 〜 3 度の所見がなく、正常範囲と思われる。
1 度(軽度) 唾液の粘性が亢進している。
2 度(中等度) 唾液中に細かい唾液の泡がみられる。
3 度(重度) 舌の上にほとんど唾液がみられず、乾いている。

口腔乾燥症の臨床診断基準は、口腔乾燥症の簡便で客観的な評価法として、口腔乾燥症の臨床診断基準がよく用いられる。

その他、口腔粘膜上皮の静電容量を測定することで水分量を測定する口腔水分計や、舌背部の湿潤度を測定する唾液湿潤度検査(KISO-WeT®)が良く用いられる。

唾液分泌量の変化による影響

唾液分泌量の変化による影響

全唾液腺は、大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と小唾液腺の大きく 2 つに分けらる。
大唾液腺は大量に唾液を分泌する役割、小唾液腺は口の中の機能を保つ役割がある。
健康成人の唾液量は1日1〜1.5Lあり、近年、年齢に伴う全唾液分泌量への影響はほとんどないと言われている。

しかし、高齢者の多くが口の乾きを訴える理由はなんなのだろうか。
ひとつには、小唾液腺の実質容量が年齢に伴って減少し、脂肪組織と結合組織が増殖し、腺細胞が縮小するため、小唾液腺からの唾液分泌量が減少するためと言われている。
この変化が小唾液腺の一つである口蓋腺にも起こり、これが高齢者の多くが口の渇きを訴える理由の一つとされている。

また、高齢者の唾液分泌量の減少には、基礎疾患の有病率や唾液腺の障害、服薬薬剤の影響が知られている。

唾液分泌量が減少すると自浄作用が低下し、細菌因子の増加と歯肉組織の脆弱化をもたらす。

このことから唾液分泌量の減少は歯周病のリスクファクターであり、う蝕のリスクが高まるなど、さまざまな口腔内疾患が引き起こされる。

唾液の潤滑作用の低下と唾液タンパクの質的・量的な変化によって口腔内が乾燥すると、口腔粘膜の保護作用を喪失する。

唾液は、口腔内を衛生的・機能的に保つという大きな役割を担っている。

肢帯型筋ジストロフィー2B型

肢帯型筋ジストロフィー2B型

大半の筋疾患は肢帯が好んで侵されます。
従って「肢帯型筋ジストロフィー」とは、臨床的特徴に乏しい筋ジストロフィーを意味します。従って、必然的に遺伝学的に異なる疾患が含まれます。
常染色体優性遺伝のものは1型、常染色体劣性遺伝のものは2型に分類されます。
それぞれの型の中で、最初に遺伝子座または原因遺伝子が見つかった順に1A、1Bなどとアルファベットが割り振られていきます。
これまでに少なくとも1Gまでと、2Pまでがあることが知られています。

本邦で最も頻度の高いのは2B型です。この2B型で欠損するジスフェルリンも筋線維膜タンパク質ですが、筋線維膜の補強ではなく、筋線維膜が損傷を受けた場合の修復に関与しています。

従って、ジスフェルリノパチーは、筋線維膜の脆弱性による筋ジストロフィーではなく、膜の修復異常による筋ジストロフィーと言えます。

ジスフェルリノパチーは10歳代後半から30歳代半ばにかけて、下肢筋力低下で発症します。当初は上肢の筋力は保たれていることが多い。同様にジスフェルリン欠損を原因とする疾患に三好型ミオパチーがあります。

三好型は遠位型ミオパチーの一種であり、腓腹筋が好んでおかされる。ただし進行すると肢帯型であっても進行例ではほぼ必ず腓腹筋が侵されており、進行例で肢帯型と三好型を区別することは困難です。

さらには、同一家系内でも肢帯型と三好型が混在することもあります。

血清CK値は数千IU/l に上昇しており、歩行可能な時期で1、000IU/l を下回ることはありません。

筋生検を行い、免疫染色またはウェスタン解析を行うことで診断が付きます。

遺伝子診断が必要な場合には、55個全てのエクソンのシークエンスが必要となります。

福山型先天性筋ジストロフィー 3kb挿入変異

福山型先天性筋ジストロフィー 3kb挿入変異

福山型先天性筋ジストロフィー患者の約70%は、FKTN遺伝子の3’ 非翻訳領域に約3kbの挿入変異をホモ接合で有しています。
残り30%の患者はこの3kb挿入変異と蛋白質コード領域のミスセンス変異からなる複合ヘテロ接合変異を有しています。
この3kb挿入変異は約102世代前の日本人に起こった突然変異と考えられており、日本人にしか見つからないとされていました。しかし最近相次いで韓国および中国でも少数の患者が見出されるに至っています。
3kb挿入変異は、最近、新たなエクソンを生じるとともに、その直前のエクソンの途中でスプライシングを受けることによって、読み枠がずれてしまうことが明らかにされました。
このことは、3kb挿入変異内の新規エクソン部位をアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて抑制すれば、治療できることを示しています。

福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉

福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉

福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉では、α- ジストログリカンの糖鎖部分に対する抗体で免疫染色を行うと染色性が著減していますが、蛋白質部分に対する抗体で染色すると染色性が保たれています。
このことは、福山型先天性筋ジストロフィーにおいては、α- ジストログリカンの糖鎖に何らかの異常があることを示しています。
同様の異常はmuscle-eyebrain病、Walker-Warburg症候群を初めとする先天性筋ジストロフィーや2I 型を初めとする一部の肢帯型筋ジストロフィーにも認められます。
福山型の原因遺伝子FKTNがコードするフクチンのアミノ酸配列は糖転移酵素と相同性があることから、α- ジストログリカンの糖修飾に何らかの役割を有しているものと考えられています。
福山型先天性筋ジストロフィーを含む一連の筋ジストロフィーでα- ジストログリカンの糖鎖異常を来すものは、α- ジストログリカノパチーと総称されています。
ジストロフィン軸の最外層のラミニンはα- ジストログリカンとα- ジストログリカンの糖鎖部分で結合しています。
α- ジストログリカノパチーにおいては、α- ジストログリカンの糖鎖が正しく形成されていないことから、ラミニンとα- ジストログリカンとの結合が断絶しています。
すなわち、ジストロフィン軸の断絶を意味しており、ジストロフィノパチーと同様に筋線維膜の脆弱性を来して、筋ジストロフィーを引き起こします。

Modified Rankin Scale 全般的機能の評価

Modified Rankin Scale 全般的機能の評価

Grade0 :全く症状なし
Grade1 :なんらかの症状はあるが,障害はない。通常の仕事や活動はすべて行える。
Grade2 :軽微な障害。これまでの活動のすべてはできないが,身の回りのことは介助なしでできる。
Grade3 :中等度の障害。なんらかの介助を要するが,介助なしで歩行できる。
Grade4 :中等度.重度の障害。介助なしでは歩行できず,身の回りのこともできない。
Grade5 :重度の障害。寝たきり,尿失禁,全面的な介護。
Grade6 :死亡

Stein Langfitt Grading Scale 全般的機能の評価法

Stein Langfitt Grading Scale 全般的機能の評価法

Grade0 :神経学的に異常所見なく,労働能力あり
Grade1 :軽度の障害はあるが,自宅では自立して生活できる
Grade2 :自宅での生活活動において少しの保護,監督が必要
Grade3 :自立した生活機能は残存しているが,保護,監督が必要
Grade4 :自立した生活は不可能

GaitStatusScale-Revised 歩容評価

GaitStatusScale-Revised 歩容評価

姿勢反射障害:重心が足裏から外れる程度に後方に軽く引いて評価
4:足が後方に出ずそのまま倒れる
3:小刻みに突進し自力で止まれない
2:6歩以上突進するが自力で止まれる
1:3~5歩で自力で止まれる
0:2歩以内で自力で止まれる

開脚歩行
1:あり
0:なし

小刻み歩行
2:歩幅が足底の前後径未満
1:小刻みだが歩幅が足裏の前後径以上
0:なし

すくみ足
2:歩行途中で止まってしまう
1:歩行開始時のみすくむ
0:なし

すり足歩行
1:あり
0:なし

歩行レベル
2:手すり~用手介助を要する
1:監視下に独歩可能
0:正常

左右の動揺
2:足の運びが左右にふらつく
1:体幹が左右にふらつく
0:なし

加速歩行
2:加速し自力で止まれない
1:加速するが自力で止まれる
0:なし

継ぎ足歩行:8歩の継ぎ足歩行の間に2歩以上やり直したとき障害あり
1:障害あり
0:なし

外股歩行
1:あり
0:なし

福山型先天性筋ジストロフィー (Fukuyama congenital muscular dystrophy)

福山型先天性筋ジストロフィー (Fukuyama congenital muscular dystrophy)

福山型先天性筋ジストロフィーは常染色体劣性の遺伝性筋疾患であり、その患者は本邦先天性筋ジストロフィー患者のおよそ半数を占めています。乳児期に発育・発達の遅れで気付かれると言われています。典型的には、幼児期に座位まで獲得するものの、生涯、起立・歩行を獲得することはありません。知的発達障害も著明です。小児期には全身の筋萎縮が進行します。以前は10歳代半ばで死亡するとされていましたが呼吸管理の改善により30歳を越えて生存する患者も存在するようになっています。

サルコグリカノパチー (sarcoglycanopathy)

サルコグリカノパチー(sarcoglycanopathy)

筋線維膜にはサルコグリカンという糖蛋白質が発現しています。
α、β、γ、δの4つのサルコグリカンからなるサルコグリカン複合体がジストロフィン軸を側方から支えるようにして存在しています。
これらのサルコグリカンはそれぞれ異なる遺伝子によってコードされていますが、何れのサルコグリカン欠損によっても基本的に全てのサルコグリカンが複合体ごと欠損してしまいます。
サルコグリカンが欠損すると、生化学的にジストロフィンとβ- ジストログリカンの結合が弱まることが知られているます。
ジストロフィンとβ- ジストログリカンの結合が弱まるというのは、ジストロフィン軸の筋線維膜を補強するという機能的な側面からは、ジストロフィンが欠損したのと同義となります。
サルコグリカノパチーは当初「常染色体劣性の重症小児筋ジストロフィー」として報告されました。これはすなわちDuchenne型に似ていますが常染色体劣性遺伝形式を取る筋ジストロフィーであることを意味しています。
実際には、Duchenne型よりは軽症の例が多く、むしろBecker 型やDuchenne型の症候性保因者などの鑑別に重要です。
サルコグリカノパチーは現在、肢帯型筋ジストロフィー(2C~2F型)に分類されています。

ミラー・ニューロンと他者の動作の意図・意味の理解、共感

ミラー・ニューロンと他者の動作の意図・意味の理解、共感

他者の動作の意図や意味を理解することは社会生活を遂行するために必須なことです。
1996年リゾラッチらは他者の動作を観察する時に活動を増大させるニューロンを見つけ、これを他者の動作を映す鏡という意味で「ミラー・ニューロン」と名付けました。
個体による動作を引き金として応答するニューロンは、45野や、前頭葉と解剖学的に強い結合をもつ下頭頂小葉前外側部(PF野)、側頭連合野に位置する上側頭溝の前方領野(STSa)に存在することが明らかにされています。
ミラー・ニューロンは他者の動作の観察そのものではなく、その動作の意図や意味の認識・推測の反映であることを示唆する事実が報告されています。

感情制御における前頭葉の役割

感情制御における前頭葉の役割

前頭葉が感情制御に重要な役割を果たしていることは明らかです。
前方帯状回は個体にとっての刺激の価値評価に関係していると考えられます。
この領野の機能低下は刺激を受容することによる快感の欠如をもたらし、鬱病に見られる喜びの喪失や意欲低下の原因となります。
逆に活動が亢進すれば刺激受容による快感が増大し、躁病の諸症状をもたらします。
前頭葉背外側部は刺激に対する心理的並びに生理的反応の制御に関係すると考えられます。
鬱病における眼窩部の活動性増大は嫌悪反応や負の感情を抑制しようとする一種の防御反応です。
この領野の損傷は刺激に対する好感反応を減少させ、結果として鬱症状を生じさせます。

意の障害 前頭葉症状

意の障害 前頭葉症状

前頭葉には運動中枢である運動野、前運動野が存在します。
一方、欲求と関係の深い大脳辺縁系と前頭葉の間には密接な相互線維連絡があります。
前頭葉は、個体に行動を起こしたいという欲求が生じた時、それを実際の行動に移す働き(欲求→行動変換過程)を前頭葉は担っています。
前頭葉損傷によって、欲求→行動変換過程に障害が生じます。
この変換過程で重要な役割を担っている神経伝達物質はドーパミンと言われています。ドーパミンの過剰あるいは不足によっても変換過程に障害が生じと言われています。
欲求が生じるとすぐ行動に変換されてしまう(脱抑制)、あるいは欲求によって引き起こされた行動がそのまま持続する(保続、無動)という症状が多いです。
中には逆の症状があります。特定の刺激に注意を集中すること出来ず、課題とは関係ない刺激に注意を向け反応してしまう。この現象は「転動性」と呼ばれています。
刺激が提示されるとすぐに反応してしまう現象も認められます。環境依存症候群です。
すなわち、前頭葉損傷に伴って生じる意の障害は「状況に応じた適切な反応をなしえない」ことではないでしょうか。
これは状況を正しく認識しえないことに原因がある場合もありますが、状況の認識が正しいにも拘われず不適切な行動が生じることが前頭葉損傷者の特徴です。
環境に適応するためには、状況に応じて行動を開始し、停止し、また状況が変化すればそれに併せて行動も変化させる必要があります。この機能は「遂行機能」と呼ばれています。前頭葉損傷者では顕著な遂行機能障害が認められます。

関節包パターン

関節包パターン 関節と運動制限

頚椎:側屈と回旋が等しく制限,伸展

肩甲上腕関節:外旋・外転・内旋

胸鎖関節:過剰な可動域で疼痛

肩鎖関節:過剰な可動域で疼痛

腕尺関節:屈曲・伸展

腕橈関節:屈曲・伸展・回外・回内

上橈尺関節:回外・回内

下橈尺関節:全可動域一過剰な回旋で疼痛

手根の関節:屈曲と伸展が等しく制限

中手指節関節一指節問関節:屈曲・伸展

胸椎:側屈と回旋が等しく制限,伸展

腰椎:側屈と回旋が等しく制限,伸展

仙腸関節・恥骨結合・仙尾連結:関節にストレスがかかると疼痛

股関節:屈曲・外転・内旋

膝関節:屈曲・伸展

脛腓関節:関節にストレスがかかると疼痛

距腿関節:底屈・背屈

距骨下関節:内反の可動域制限

End Feelの種類と臨床的意味

End Feelの種類と臨床的意味

Bone to bone
突然停止
骨同士の衝突

Spasm
「びくつ」
筋の緊張

Capsular feel
「きつく引き留める」
関節胞の伸張

Spring block
「跳ねる」
半月板の損傷など

Tissue approximation
やわらかい組織の圧縮
組織の圧迫

Empty feel
抵抗感がない
疼痛


下記も参考になります。
http://pain0205.blog92.fc2.com/blog-entry-20.html

前頭葉損傷に伴う神経心理学的症状の責任病巣

前頭葉損傷に伴う神経心理学的症状の責任病巣

系列動作の遂行障害 : 前運動野

利用行動、模倣行動 : 前頭葉全体もしくは他の皮質領野損傷を伴う

保続 : 前運動野、基底核損傷を伴う

紋切り型行動 : 両側前頭葉の広範な損傷

作話 : 両側前頭葉

人物誤認 : 両側前頭葉

無感動、保続 : 背外側部

活動のプログラミング障害 : 背外側部

空間的見当識障害 : 背外側部

自己身体の定位障害 : 背外側部

記憶障害 : 背外側部

視空間無視 : 背外側部

言語流暢性減少 : 左背外側部

呼称障害 : 左背外側部

重複性錯記憶 : 右背外側部

情動失禁、脱抑制 : 眼窩部

食欲、性欲異常 : 眼窩部

社会行動異常 : 眼窩部

認知症 : 両側前頭葉

視覚的走査障害 : 両側前頭葉

自発的眼球運動障 : 8野

反応抑制障害 : 9野、10野




変形性股関節症 触診と徒手検査

変形性股関節症 触診と徒手検査

触診
Scarpa三角:Scarpa三角(鼡径靱帯、縫工筋、長内転筋に囲まれた部位)に圧痛を認めることが多いです。
大転子近位:大転子近位部に圧痛を認めることがあります。大転子滑液包炎でも大転子周囲に圧痛を認めることがあります。
可動域検査:屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋の可動域を測定します。

徒手検査
Patrickテスト(Faberテスト):股関節を屈曲・外転・外旋し疼痛誘発の有無を調べます。股OAでは陽性のことが多く、腰椎疾患との鑑別に有用ですが、仙腸関節由来の疼痛でも陽性となることがあるため注意が必要です。
インピンジメント・テスト(FADIRテスト):股関節を屈曲・内転・内旋させた際に、疼痛が股関節前方に誘発される場合は陽性であり、femoroacetabular impingement(FAI)が疑われます。

延髄外側症候群の輪状咽頭部での通過障害の機序

延髄外側症候群の輪状咽頭部での通過障害の機序

延髄外側症候群の輪状咽頭部での通過障害の機序として、その筋電図所見から輪状咽頭筋の弛緩不全と嚥下関連筋の協調的連続的活動の障害が深く関与しているとする報告があります。
その原因として、延髄には一連の嚥下運動が起きるためのcentral pattern generator(CPG)が存在しており、それが障害されるためといわれています。CPGへの知覚入力(求心路)は対側にも乗り入れているといわれており、片側のCPGの病変でも両側の障害が起き不通過が生じ得ます。しかし、実際には病巣側でより重度な傾向がみられれます。

歩行・姿勢の異常 前頭葉

歩行・姿勢の異常 前頭葉

第一次運動野損傷では運動麻痺に伴う歩行障害が認められます。
前頭前野損傷者では運動麻痺がないにもかかわらず時として歩行障害が認められます。
小刻み歩行、前方突進を伴うバランス障害、さらには歩行失行も認められます。
歩行失行は水頭症などに脳内圧亢進によって前頭葉が圧迫された場合に出現します。
歩行中、体のバランスを失って倒れる現象は「前頭葉失調」と呼ばれることがあります。
側方より後方への転倒、四肢よりも体幹の障害が前頭葉失調の特徴と考えられています。
前頭葉損傷者は時に異様な姿勢を取ることがあります。まるで蝋人形のように特定の姿勢を取り続けることもあります。「カタレプシー」と呼ばれ、統合失調症において多く認められました。前頭葉損傷者のカタレプシーについても報告があります。

筋緊張(トーヌス)の異常 前頭葉

筋緊張(トーヌス)の異常 前頭葉

前頭葉損傷者は筋緊張に異常を来します。これは前頭葉背外側部、特に運動前野の損傷で生じやすいです。クライストの「ゲーゲンハルテン」は最もよく知られています。検者が患者の四肢を伸展(屈曲)させようとすると、患者はこれに抵抗するように四肢を屈曲(伸展)させる。患者はこのことを自覚していないし、抑制することも出来ない。筋緊張の亢進である「強剛」とは異なります。強剛では屈曲や伸展に際して丁度鉛管を曲げるような抵抗(鉛管様固縮)がある。パーキンソン病では抵抗が非連続的に変化する「歯車様固縮」が認められる。ゲーゲンハルテンではこのような現象は認められません。「パラトニア」、「対抗運動」と呼ばれることもあります。

アトピー性皮膚炎 重症度のめやす

アトピー性皮膚炎 重症度のめやす

軽症 : 面積にかかわらず、軽度の皮疹のみみられる。
中等症 : 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%未満にみられる。
重症 : 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%以上、30%未満にみられる。
最重症 : 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上にみられる。

アトピー性皮膚炎の治療は症状の程度に応じて適切に選択することが大切です。そのためには、症状の程度(重症度)の的確な評価が必要です。重症度の評価基準にはいくつかの方法が提唱されているが日常診療での使用には多少繁雑な場合もあり、厚生労働科学研究による治療ガイドラインではより簡便な「重症度のめやす」を用いています。
この基準では重症度を皮疹の性状および炎症の強さと皮疹の占める面積を総合的にみて、軽症、中等症、重症、最重症の4段階で評価することとしています。ちなみに軽症はステロイド外用薬など積極的な抗炎症療法を必要としない程度の症状であり、最重症は原則として入院治療を必要とする程度の症状をいいます。

http://www.jaanet.org/pdf/guideline_skin03.pdfより参照

病的反射 前頭葉

病的反射  前頭葉

前頭前野損傷者では健常者では見られない以下の病的反射が出現します。

①把握反射
病巣対側の上下肢が、患者の意志に反して対象物を把握しようとする現象です。乳幼児には正常に認められる反射であるが、成人で認められる場合は対側の前頭葉損傷が疑われます。

②手探り反射
患者の手から物を取り去ると、それを手探りでとろうとし、眼で追いかけます。あたかも患者の手が磁気で引かれるようです。把握反射より出現頻度は低いといわれています。

③口とがらし反射
上唇の中央を軽く刺激すると唇が突出し、唇にしわができ、とがり口になります。この反射は前頭葉損傷のみならず錐体外路系の損傷でも認められます。

④吸入反射
口を軽く開かせ、上唇から口角にかけて刺激すると口を尖らせて乳児が乳を飲むような運動が生じます

⑤緊張性足底反射
足底反射検査に際して足指屈曲が生じ、刺激がなくなっても反射が持続します。

⑥交差屈曲反射
下肢または上肢を受動的に屈曲させると対側も自動的に屈曲します。

病的反射の出現機序は、前頭前野損傷に伴って低次の運動中枢への抑制が解除されたことによると考えられています。

無言 前頭葉症状

無言 前頭葉症状

自発性発話が全く認められない状態は前頭葉損傷でしばしば認められます。前頭葉腹内側部の損傷が問題となります。両側性もしくは一側性の補足運動野や帯状回損傷による無言が報告されています。
左右いずれの前頭葉損傷でも生じ、左右差は認められません。両側性損傷の場合は回復が遅れるとの報告があります。
前大脳動脈・動脈瘤破裂例が多いといわれています。

FMA(Fugl-Meyer Assessment) 評価

FMA(Fugl-Meyer Assessment) 評価
1.運動機能とバランス
上肢 得点  
  A. 肩/肘/前腕    
    I. 反射(屈筋系/伸筋系の2項目) *1 0,2,4  
    II. 共同運動 *2    
      a. 屈筋共同運動6要素 *3 0-12  
      b. 伸筋共同運動3要素 *4 0-6  
    III. 屈筋/伸筋共同運動の混合3動作 *5*6 0-6  
    IV. 共同運動を脱した3動作 *5*7 0-6  
    V. 正常反射 *8 0-2 A合計36点
  B. 手関節5動作 *5*9 0-10 B合計10点
  C. 手指7動作 *5*10 0-14 C合計14点
  D. 協調運動/スピード(指鼻試験の3要素) *11 0-6 D合計6点
      上肢運動機能合計 66点
下肢    
  E. 股/膝/足関節    
    I. 反射(屈筋系/伸筋系の2項目) *1 0,2,4  
    II. 共同運動(臥位) *2    
      a. 屈筋共同運動3要素 *12 0-6  
      b. 伸筋共同運動4要素 *13 0-8  
    III. 座位2動作 *5*14 0-4  
    IV. 立位2動作 *5*14 0-4  
    V. 正常反射 *8 0-2 E合計28点
  F. 協調運動/スピード(踵膝試験の3要素) *11 0-6 F合計6点
      下肢運動機能合計 34点
  G. バランス7動作 *15*16 0-14 G合計14点
           
2.感覚
  H. 感覚    
    a. 触覚4ヶ所 *17*18 0-8  
    b. 位置覚8ヶ所 *19*20 0-16 H合計24点
           
3.他動的関節可動域/関節痛
  J. 他動的関節可動域/関節痛 *21    
    a. 可動域22ヶ所 0-44  
    b. 運動時関節痛22ヶ所 *23 0-44 J合計88点
*1* 0:反射なし 2:反射あり
*2* 0:不可 1:部分的 2:可能
*3* 肩retraction/挙上/外転/外旋
肘屈曲/前腕外転
*4* 肩内転内旋/肘伸展/前腕回内
*5* 0:不可 1:部分的 2:可能 で1には細かな基準付
*6* 手を腰に/肩屈曲90度まで/肘直角で前腕回内外
*7* 肩外転90度まで/肩屈曲180度まで/肘伸展で前腕回内外
*8* stage IVが満点の時のみ採点; 0:3反射中2反射が高度亢進
1:1つの反射が高度亢進または2反射が亢進
0:3反射とも高度亢進ではなく、亢進も1反射まで
*9* 肩0度肘0度前腕回内位で手関節背屈15度保持
同じく手関節背屈掌屈繰り返せるか
肩多少外転屈曲肘伸展前腕回内位で手関節背屈15度保持
同じく手関節背屈掌屈繰り返せるか
手関節の文回しが可能か
*10* 集団屈曲/集団伸展/MP伸展IP屈曲で把持/母指内転つまみ
鉛筆母指示指鉛尖ピンチ/円筒母指示指掌側つまみ/球つまみ
*11* 振戦(0:著明 1:少し 2:なし)
測定障害(0:著明または非系統的 1:少しまたは系統的 0:なし)
5往復速度(0:健側より6秒以上遅い 1:2-5秒遅い 2:2秒未満)
*12 股屈曲/膝屈曲/足背屈
*13 股伸展内転/膝伸展/足底屈
*14 膝屈曲90度以上/足背屈
*15 0:不可能 1:ある程度または介助量大きい 2:可能; 項目ごとに詳細規定あり
*16 支持なし座位/非麻痺側のパラシュート反応/麻痺側のパラシュート反応/
支持立位/支持なし立位/非麻痺側立位
*17 0:感覚脱失 1:感覚鈍麻/異常 2:正常
*18 腕/手掌/脚/足底
*19 0:感覚脱失 1:左右差あるが3/4はわかる 2:左右差なし
*20 肩/肘/手関節/手指/股/膝/足関節/足趾
*21 肩屈曲/外転/外旋/内旋; 肘屈曲/伸展; 前腕回内/回外; 手関節掌屈/背屈;
手指屈曲/伸展; 股屈曲/外転/外旋/内旋; 膝屈曲/伸展; 足関節背屈/底屈;
足部回内/回外
*22 0:わずかの可動域 1:可動域制限 2:正常
*23 0:著明な痛み 1:痛みあり 0:痛みなし

運動維持困難 前頭葉症状

運動維持困難 前頭葉症状

一定の運動状態を維持することが出来ない症状です。右大脳球病変で生じるとされ、特に右前頭葉(中心溝領野、運動前野)損傷との関連が指摘されています。

保続 前頭葉症状

保続 前頭葉症状

前頭葉損傷者では一旦ある行動を開始すると停止することが出来ない保続が出現します。
佐久間と鹿島によれば、保続には、


  1. 全般的脳機能障害の因子
  2. 運動遂行の惰性に関する因子
  3. 運動プログラミングの惰性に関する因子の3要因が関与しているといいます。


前頭葉損傷に関係が深いと考えられるのは②と③です。

嚥下障害 口蓋ミオクローヌス(palatal myoclonus)

嚥下障害 口蓋ミオクローヌス(palatal myoclonus)

報告は少ないものの、口蓋ミオクローヌスにより、嚥下障害をきたす場合がある。

口蓋ミオクローヌス(palatal myoclonus)は、2~3Hzの持続性の規則正しい律動性を口蓋や咽頭の筋群に認める不随意運動である。多くは小脳や脳幹の脳血管障害が原因で、小脳歯状核一赤核一下オリーブ核で形成されるGuillain-Mollaretの三角とよばれる神経回路が障害されるときに生じる。

口蓋ミオクローヌスは、脳血管障害などによる症候性口蓋ミオクローヌスと原因不明の特発性口蓋ミオクローヌスに大別される。

特発性の口蓋ミオクローヌスは、口蓋・咽頭に限局し、比較的若年者に多く、睡眠などで軽減する傾向がある。

症候性の口蓋ミオクローヌスは口蓋・咽頭だけでなく、眼球,四肢時には横隔膜にも不随意運動を認め、睡眠時の口蓋ミオクローヌスは軽減しないことが特徴である。

特発性口蓋ミオクローヌスまたは症候性口蓋ミオクローヌスの薬物治療の効果については、有効との報告も無効との報告もある
摂食嚥下リハビリテーションについては、適切な評価・訓練により有効という報告がある。

症候性口蓋ミオクローヌスでは平均3.5年で症状が軽快することが報告されている。脳血管障害による運動麻痺では発症から長い期間が経過すると症状の改善は乏しい。しかし、口蓋ミオクローヌスでは長期間経過すると症状が改善していくことも口蓋ミオクローヌスのリハビリテーションで考慮すべき点である。

多系統萎縮症 嚥下障害

多系統萎縮症 嚥下障害

多系統萎縮症(multiple system atrophy:以下MSA)は50歳代以降に発症し、小脳系、自律神経系、錐体外路系の3つの神経系が進行性に障害される原因不明の、孤発性神経変性疾患です。有病率は人口10万人に5人程度です。 MSAは進行性の経過で、多くの患者は発症から5年で独歩不能になり、10年で寝たきりになります。
死因の3割が突然死で、他に尿路感染症、衰弱、嚥下機能障害による窒息や肺炎が多いと言われています。

MSAは小脳性運動失調が目立つMSA-Cとパーキンソニズムが目立つMSA-Pの2つに分類されます。

いずれも根治的な治療がなく、進行に伴って摂食・嚥下障害は増悪し、摂食動作の障害、咀噌運動の障害、口腔から咽頭への食物の送り込みの障害、嚥下反射惹起の遅れ、誤嚥、咽頭残留などを認めます。また、起立性低血圧のために食事で坐位になると失神する患者もいます。

摂食・嚥下障害には、食物形態の変更や姿勢の調整などを行いますが、進行期には摂取量低下のために栄養状態が悪化し、経管栄養や胃痩造設が必要になります。
声帯外転麻痺があり、かつ、誤嚥性肺炎の発症を繰り返す患者には、誤嚥防止術が有効な場合があります。

進行期のMSA患者は、摂食・嚥下障害以外にもさまざま問題が現れ、どのような対応が生命予後の改善に寄与するかはわかっていません。対症治療には限界があり、進行性に運動機能は低下していくため、患者の生活の質の改善を目標とした治療方針の設定が望まれます。

障害高齢者の日常生活自立度

障害高齢者の日常生活自立度

ランクJ
何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。
1 交通機関等を利用して外出する。
2 隣近所へなら外出する。

ランクA
屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない。
1 日中はほとんどベッドから離れて生活する。
2 日中も寝たきり起きたきりの生活をしている。

ランクB
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保つ。
1 介助なしで車椅子の移乗し,食事・排泄はベッドから離れて行う。
2 介助により車椅子に移乗する。

ランクC
一日中ベッド上で過ごし、排泄・食事・着替えにおいて介助を要する。
1 自力で寝返りをうつ。
2 自力で寝返りもうたない。

【ランクJ】 何らかの身体的障害等を有するが、日常生活はほぼ自立し、一人で外出する者が該当する。なお” 障害等”とは、疾病や傷害及びそれらの後遺症あるいは老衰により生じた身体機能の低下をいう。J-1 はバス、電車等の公共交通機関を利用して積極的にまた、かなり遠くまで外出する場合が該当する。J-2 は隣近所への買い物や老人会等への参加等、町内の距離程度の範囲までなら外出する場合が 該当する。

【ランクA】 「準寝たきり」に分類され、「寝たきり予備軍」ともいうべきグループであり、いわゆるhouse-boundに相当する。屋内での日常生活活動のうち食事、排泄、着替に関しては概ね自分で行い、留守番等をするが、近所に外出するときは介護者の援助を必要とする場合が該当する。A-1 は寝たり起きたりはしているものの食事、排泄、着替時はもとより、その他の日中時間帯もベッドから離れている時間が長く、介護者がいればその介助のもと、比較的多く外出する場合が該当する。
A-2 は日中時間帯、寝たり起きたりの状態にはあるもののベッドから離れている時間の方が長い が、介護者がいてもまれにしか外出しない場合が該当する。

【ランクB】 「寝たきり」に分類されるグループであり、いわゆる chair-bound に相当する。B-1 とB-2 とは 座位を保つことを自力で行うか介助を必要とするかどうかで区分する。日常生活活動のうち、食事、 排泄、着替のいずれかにおいては、部分的に介護者の援助を必要とし、1 日の大半をベッドの上で過ごす場合が該当する。排泄に関しては、夜間のみ”おむつ”をつける場合には、介助を要するものと はみなさない。なお、”車いす”は一般のいすや、ポータブルトイレ等で読み替えても差し支えない。 B-1 は介助なしに車いすに移乗し食事も排泄もベッドから離れて行う場合が該当する。 B-2 は介助のもと、車いすに移乗し、食事または排泄に関しても、介護者の援助を必要とする。

【ランクC】 ランクBと同様、「寝たきり」に分類されるが、ランクBより障害の程度が重い者のグループであ り、いわゆるbed-boundに相当する。日常生活活動の食事、排泄、着替のいずれにおいても介護者の援助を全面的に必要とし、1 日中ベッドの上で過ごす。 C-1 はベッドの上で常時臥床しているが、自力で寝返りをうち体位を変える場合が該当する。 C-2 は自力で寝返りをうつこともなく、ベッド上で常時臥床している場合が該当する。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdfより参照

行為・動作流暢性 前頭葉症状

行為・動作流暢性 前頭葉症状

語流暢性課題に対応する非言語課題として「デザイン流暢性課題」があります。一定時間内に出来るだけ多数の互いに異なる無意味図形を生成する課題です。右前頭葉損傷者の成績が最も不良であり、左前頭葉損傷者、左右の側頭葉損傷者、頭頂後頭葉損傷者の成績低下はこれに次ぎます。右前頭葉損傷者の誤反応で最も多いのは保続で、同じ図形ーを繰り返し生成する誤りでした。
類似した非言語流暢性課題に「身振り流暢性課題があります。一定時間内に、①手指を用いて出来るだけ様々な形を生成する、②出来るだけ多数の意味のある動作を生成する、などの課題です。生成された身振り数は健常者前頭葉損傷者、頭頂葉損傷者間に差は見られませんでした。しかし、前頭葉損傷者は同じ身振りを繰り返し生成する誤りが多く、身振りの種類が少なかったのです。成績低下は左右いずれの前頭葉損傷者にも認められました。エスリンガーとグラトンは、道具の使用法を出来るだけ多数列挙する課題で前頭葉損傷者の成績が低下することを報告しました。左右の背外側および内側前頭葉損の成績は、健常者や大脳後方損傷者より低下していました。この場合も最も多い誤りは保続でした。

前頭葉損傷による失行

前頭葉損傷による失行

1)観念運動失行
観念運動失行の責任病巣は通常左頭頂葉傷であるが、左前頭葉損に伴う観念運動失行例が報告されています。

2)肢節運動失行
四肢の動作巧緻性の障害である肢節運動失行は運動前野および中心回領野損傷で生じます。サルの運動前野を破壊すると動作の巧緻性が障害されます。

3)顔面失行
前頭葉内側領野損傷に伴う顔面失行例が報告されています。

4)構成障害
ベントンらによれば、右もしくは両側の前頭葉損傷に伴い、三次元構成行為が障害されます。
ミルナーらによれば、右前頭葉損傷者では抽象図形を模写した後、再度それを想起して描画することが障害されます。
ミラーらの報告では、マッチ棒を用いて様々な形を構成する課題が前頭葉損傷によって障害されます。

開心術後の嚥下障害

開心術後の嚥下障害

開心術は外科手術の中で最も高侵襲の手術であり、手術時間が長くなればなるほど高侵襲となります。Harringtonらの報告によると他の外科的な手術に比べて冠動脈バイパス術は嚥下障害が多いとされており、手術侵襲の大きさが嚥下障害に関与している可能性があります。

脳梗塞既往患者においては、術前に嚥下障害を認めていなくても、高侵襲の手術をすることで、全身状態が悪化し、症状が出現した症例があります。脳血管疾患の既往は開心術後の嚥下障害のリスク因子であるという報告は多く、周術期に脳梗塞を生じた場合、誤嚥のリスクは21倍になるとの報告もあります。

胸部大動脈疾患においては東野らの研究で有意差を認めており、一般に心臓血管外科術後の反回神経麻痺の発生率は1。9~6。9%と報告されています。特に胸部大動脈手術ではその頻度は高く、Itagakiらは通常開心術の6倍のリスクがあると報告しています。これは術前からの瘤の神経圧排や手術操作が原因と考えられています。胸部大動脈手術は手術時間が長く、術後の脳血管疾患の発症率も他の術式に比べ高いため、反回神経麻痺だけでなく、これらさまざまな要因において嚥下障害を発症しやすいと考えられています。

 長期挿管においてはさまざまな研究において嚥下障害の発症率が高いとされています。Barkerらの検討によると開心術後に長期挿管を要した患者の51%に嚥下障害を生じている。その要因としては、挿管チューブによる咽頭・喉頭の廃用性変化と長期挿管が必要な呼吸・循環状態である(全身状態が悪化している)ことがあげられます。これらは、挿管時間が長くなればなるほど生じやすいとされています。
須田らは循環器疾患患者の抜管後の摂食嚥下障害は、生涯がその後長期にわたって残存するわけではなく、ある程度の期間を経過すると元の食事形態まで回復することが明らかになったと述べています。また、中村らの研究においても初回評価時の摂食嚥下機能の低下を認めた25例全例が最終評価時には経口摂取可能となっているとの報告があります。東野らは術後の全身状態の回復が遅れることで嚥下機能も低下し経口摂取自立に時間を要すが、全身状態の改善とともに元の食事形態に到達するとしています。

多くの開心術後の患者は術後早期に食事(普通食)開始となりますが、嚥下機能の低下している症例に対して食事を開始すると誤嚥性肺炎など合併症を発症しやすくなります。一方食事を開始しない場合、術後の栄養摂取が不十分になり、回復に影響を及ぼしてきます。最終的に嚥下障害が消失する症例であっても、術後早期に言語聴覚士が嚥下機能の評価を行い、適切な栄養摂取手段を検討し、段階的な嚥下訓練を行っていくことで、合併症は減少し、より早期に回復していくものと考えられているようです。

まとめ
開心術は外科手術の中で最も高侵襲の手術であり、手術時間が長くなればなるほど高侵襲となる。特に、冠動脈バイパス術は嚥下障害が多いとされており、手術侵襲の大きさが嚥下障害に関与している可能性がある。
脳梗塞既往患者においては、術前に嚥下障害を認めていなくても、高侵襲の手術をすることで、全身状態が悪化し、嚥下障害が出現する場合がある。
胸部大動脈手術は手術時間が長く、術後の脳血管疾患の発症率も他の術式に比べ高いため、反回神経麻痺だけでなく、さまざまな要因において嚥下障害を発症しやすい。
開心術後に長期挿管を要した場合嚥下障害が起こりやすい。要因としては、挿管チューブによる咽頭・喉頭の廃用性変化と長期挿管が必要な呼吸・循環状態である(全身状態が悪化している)ことがあげられる。
循環器疾患患者の抜管後の摂食嚥下障害は、生涯がその後長期にわたって残存するわけではなく、ある程度の期間を経過すると元の食事形態まで回復すると言われている。
術後早期に言語聴覚士が嚥下機能の評価を行い、適切な栄養摂取手段を検討し、段階的な嚥下訓練を行っていくことで、合併症は減少し、より早期に回復する。

反響現象 前頭葉症状

反響現象  前頭葉症状

両側前頭葉損傷の患者では、以下の反響現象が認められます。

1)反響行為
検者の行為を反射的に繰り返す。

2)反響言語
検者の話かけや質問に対して、それに適切に答えることなく、話しかけや質問をオウム返しにそのまま発話する現象。

3)反響書字
言語刺激に対してオウム返し的に書写する現象。
①視覚性反響書字
書かれた文字を見て書写する
②聴覚性反響書字
聞こえたものを書きとめる
の二型がある。

4)強制読字
眼にする文字を全て音読する。

強迫的言語応答 前頭葉症状

強迫的言語応答 前頭葉症状

物品や検者の動作が提示された時、強迫的にことばで応じてしまう症状のことを言います。物品の場合は呼称し、手を振る動作のときは「バイバイ」、チョキの時は「チョキ」、「Ⅴ」あるいは「に」などと言語化するものをいいます。
患者は異常に気付いていて、禁止された場合に止めようとし、また自ら止めたいという意思を示しますが抑制することは困難となります。

把握行動 前頭葉症状

把握行動 前頭葉症状

患者の眼前に検者の手を置き患者の手に触れると患者が反射的に検者の手を握る行動です。重症例では、検者が手を動かすとそれに合わせ立ち上がって検者に近づいたりします。患者に手を握らないように指示しても患者の運動を止めることは出来ません。

利用行動 前頭葉症状

利用行動 前頭葉症状

周りにある物品を患者が勝手に使ってしまうことを言います。患者は目前にあるコップで水を飲んだり聴診器を触ったりします。物品の使用を禁じてもしばらくすると同理由を尋ねられると「物品を差し出されたので使用しなければならないと考えた」と答えます。この行動は強迫的なものではなく、患者の意思にある程度左右されます。タバコのケースとライターがあるとすると、喫煙者はタバコを吸う行動をするが、非喫煙者はタバコを吸いません。
リドックらは利用行動動に関する実験的検討を行いました。
被験者の右または左にコーヒーカカップを取るこという実験です。
前頭葉損傷者はカップの取手が右にあるとその置かれた位置に関係なく右手でカップを取り、取手が左にあると左手でカップを取る誤りを示しました。カップを伏せて提示する条件、筒状の物体に取手を付けた刺激を提示する条件ではこの誤りは減少しました。
すなわち、利用行動は刺激の親近性、および課題と関連した刺激の布置に依存して出現します。 類似の現象として、物に触れるか物を見ることで本人の意思とは関係なくそれを使用してしまう行動を森らは「道具の強制使用」として報告しています。
利用行動について、レールミッテは患者の環境への依存性の亢進であると考えました。患者は環境からある行動をするよう命令されているように感じ、そのように行動してしまう。これは人間の行動自律性の障害であるとされています。欲求がないのに行動だけが生起してしまう症状です。 利用行動は通常両側性あるいは左右い用ずれかの前頭葉病変で生じます。皮質下損傷でも利行動が生じることが報告されています。特に前頭葉皮質下の変性疾患で多く認められます。

模倣行動 前頭葉症状

模倣行動 前頭葉症状

患者が指示なしに検者の行為を模倣する行動です。
頭をかく、指で鼻の頭を触る、足でリズムを取る、など様々な行為が模倣されます。
患者は自分で不適切と判断した行為は模倣しないが、「こんな事はしてはいけない」と言いながら不適切な行為(公共の場所での放尿など)を模倣する例もあります。
何故模倣するのか訊ねられると、「先生がしているから」とか「真似しないといけないと思った」などと答えます。
患者は行為が不適切であることは認識しており、模倣するよう求めると却って模倣を拒否する場合もあります。
前頭葉損傷と関連することは明らかですが、責任病巣の詳細については、①両側前頭葉前下方領野、②前頭葉背外側部、③前頭前野内側および外側部、など諸説あり、一致は見られてません。

行動反復 前頭葉症状

行動反復 前頭葉症状

前頭葉損傷者における環境依存性亢進は単一の動作や行動のみならず、複雑な目的的行動にまで及ぶ場合があります。
森は次の例を記載しています。
患者は、手洗いを見つけると中に入り、水道の栓をひねり、石鹸で手を洗い、タオルで手を拭く、という一連の行動を反射的に行った。
この症例では、水道の栓が再びトリガーとなり一連の行為が同様に繰り返されました。
患者は異常に気付いていて、止めたいという意思を示す場合が多いが、注意の転導性が高いために外的刺激に不必要に注意が向いてしまい、また抑制を維持することも困難で、同じ一連の動作を何度も繰り返すことになります。
ピック病では、短絡的、固定的的、脱抑制的とみえる行動が実行されます。
池田は次の例を記載しています。
患者は決まった時間になると決まった道順で必ず散歩に行く。あるいは孫宅を訪ねる時、必ず決まった店で決まった数量だけ決まった巻き寿司を買い土産とする。この行動を常に繰り返す。
池田は、おそらく最初は目的適合的であった行動がその目的が達成された後でも繰り返されてしまうのであろう、と考察しています。

DBDスケール (dementia behavior disturbance scale)

DBDスケール (dementia behavior disturbance scale)

DBDスケール(dementia behavior disturbance scale)は、 Baumgartenらによって開発されました。認知症にしばしば認められる問題行動についての質問28項目からなる尺度です。観察によって、各項目について「まったくない(1点)」、「ときどきある(2点)」、「よくある(3点)」、「常にある(4点)」、までの5段階で評価し、総得点(最高112点)を算出します。

DBDスケール得点が高いほど各種の問題行動の頻度が高く、得点が低いほど頻度が低いことを示します。すべての質問項目は異常な行動によって構成されているので、0点以外はたとえ1点でも異常であると推定されます。したがって、異常と正常とを分けるようなカットオフポイントは設定されていません。

DBDスケールの質問項目は、介護者が観察し得る行動異常に限定している点に特徴があります。また、項目による重みづけや行動異常の重篤度は無視して頻度だけを評価している特長があります。すなわち、合計点数が1点でも増加すれば悪化と考え、減少すれば改善を意味します。この2つの特徴はDBDスケールの評価においては、特別な精神医学的な知識やトレーニングを積んでいなくても実施が可能であることを示しています。

また、認知機能から見た重症度と問題行動との関連は必ずしも一定でないことも知られており、DBDスケールによって問題行動を評価することの有用性はすでに実証されています。

DBDスケールは溝口らによって日本語に翻訳され、その再現性、内的整合性、評価固著信頼性がわが国でも明らかにされています。

評価表はこちら↓

空間認知障害

空間認知障害

定義:対象の空間における位置、ないしは複数の対象物の空間における位置関係の視覚性認知障害。

空間知覚障害
・変形視(大視、小視)
・刺激定位の障害(距離の判断の障害、奥行き知覚の障害)
・線分の定位の障害
・立体視障害(遠近)障害

視空間認知障害
・半側空間無視 
・Ballint症候群
・身体認知障害
・地誌的障害
・構成障害

強制収集 高次脳機能障害

強制収集 高次脳機能障害

環境依存性亢進の結果として、必要のない物品を多数収集して保管する行動が出現します。
コーエンらは前大脳動脈・動脈瘤破裂後10年間にわたって自動車を盗み続け、自宅に保管していた症例を報告しています。
患者は多数の自動車を盗んでも売却することなく保有していました。窃盗罪で何度か懲役刑に処せられたが自動車窃盗を止めることはなかったそうです。
ヴォッラらの症例は両側性の眼窩部および前頭極病変例で様々の家電製品を多数自宅に保管していました。
彼の自宅の全ての部屋は家電製品で埋まっていました。
これらの患者はむやみやたらに何でも収集する訳ではありません。
特定の対象だけを収集します。
前頭葉背外側部が損傷されていない ため行動計画能力は保たれていることによると考えられます。

環境依存症候群の機序

環境依存症候群の機序

レールミッテによれば、環境依存症候群は通常の検者―患者関係よりも複雑な状況で生じやすいといわれています。
彼の自宅を訪問した患者は絵が壁から外れているのを見て釘とハンマーで絵を壁に固定した。
寝室を見せると、衣服を脱いでベッドに寝てしまった。まるで自宅にいるかのごとく振る舞った。
患者は、①自分の置かれている状況が理解出来ず(状況無視)、②環境刺激からの影響を排除出来ない(環境固着)。この事実は環境依存症候群が診察室でのみ見られる特殊な現象ではなく、日常生活でも出現する現象であることを意味します。

ピロンとデゥボアは次のように考察しています。環境依存症候群は前頭葉損傷者で生じる。それは行動の自律性の喪失である。患者の行動は環境刺激によって容易に誘発され、患者はそれを抑制出来ない。前頭葉は刺激―反応の結合を抑制して目的適合的な行動へ変容する働きをする。この時、自己の内的状態(大脳辺縁系および眼窩野で処理される)と環境からの情報(頭頂葉の感覚連合野および前頭葉背外側部で処理される)の両者に配慮する必要がある。すなわち前頭葉と頭頂葉の間の力動的な相互作用が必要である。前頭葉損傷者ではこの相互作用が失われて頭頂葉からの情報のみによって自動的な行動が触発される。環境依存症候群は前頭葉―頭頂葉間の相互抑制過程の障害による接近―回避不均衡に起因する症状であるとされています。