複数回嚥下(空嚥下)


複数回嚥下 (空嚥下)

複数回嚥下(空嚥下)とは、一口につき 2 回以上嚥下することで咽頭残留を除去し、嚥下後の誤嚥を防止する方法。

主な対象者
咽頭残留を認める(疑われる)場合複数回嚥下(空嚥下)が対象となる。

具体的方法
一回嚥下した後、咽頭残留感の有無にかかわらず、度以上の複数回の空嚥下をしてもらう。

注意事項
自覚的には残留感がない場合も多いので、VF  VE での評価や嚥下後の湿性嗄声で適応を判断する。

鼻つまみ嚥下


鼻つまみ嚥下

鼻つまみ嚥下とは、その名のとおり鼻をつまみ鼻腔からの空気流出を防いで嚥下することで、鼻腔への逆流を防止する。また、嚥下時の咽頭圧が鼻腔へ逃げるのを防止し、咽頭残留を減少させる。

主な対象者
軟口蓋麻痺と咽頭収縮不良に伴う鼻咽腔閉鎖不全がある場合と。食道入口部開大不全、または開大のタイミングのずれにより鼻腔逆流を認める場合。食事中に鼻汁やくしゃみがある場合は鼻腔逆流が強く疑われ鼻つまみ嚥下の対象となる

具体的方法
飲食物を口中へ入れた後、用手的に鼻をつまんだ状態で嚥下する。


一側嚥下


一側嚥下(健側を下にした半側臥位と頸部回旋姿勢のコンビネーション)

本法は、健側傾斜姿勢と頸部回旋姿勢を併用することにより食道入口部の通過障害を改善させる手法で、器質性(静的)嚥下障害、運動障害性(機能性、動的)嚥下障害の両者に適用することができる。

<健側傾斜姿勢の効果
1) 重力を利用して、患側と比べ運動機能も感覚機能も優れた健側に食塊を送り込む。
2) 食塊の流れを遅くし、送り込み操作を容易にする。
<頸部回旋姿勢の効果 
1) 患側の梨状窩を狭くして健側の梨状窩を拡大する。
2) 甲状軟骨に外圧を加え、声門閉鎖を強化する。
3) 輪状軟骨が前方に引かれ、食道入口部の括約機構を弱める。

主な対象者

食道入口部の通過障害を呈する患者全般。
具体的方法
頭部と体幹を健側に傾斜させると同時に、頭頸部を患側に回旋させる。

注意点など
本姿勢の効果は、嚥下造影検査下で判定することが望ましい。

障害等級「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」について

障害等級「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」について

3級と4級が認められる。

3級の具体例

【理解面】
本人や家族の名前が分からない。
住所が分からない。
日付・時間が分からない。
部屋の中の物品を言われても分からない。
日常生活動作に関する指示がわからない。(フロに入って、STにいって、薬を2錠のんで…)
状況依存度が高く、本人の所属、時間、日常生活動作、物品に関する指示が分からない。
【表出面】
本人、家族の名前が言えないか、通じない。
住所が言えない。(通じない)。
日付、時間、年齢が言えない。(通じない)。
欲しい物品を要求できない。(通じない)。
日常生活動作に関する訴えができないか通じない。(窓を開けて…)
身体的訴えができない。(通じない)。
状況依存度が高く、本人の所属、時間、日常生活動作、物品に関する要求ができない。


4級の具体例

【理解面】
問診の質問が理解できない。
治療上の指示が理解できない。(PT、薬の飲み方…)
訪問者の要件が分からない。
電話での話が分からない。
尋ねた道順が分からない。
おつかいができない。(いつ、どこで、何を、いくつ、いくら、誰に)。
状況的依存度は3級と比べ低く、家族以外の者から、日常生活動作について、質問されたり、指示されたときに、理解できない。

【表出面】
病歴、病状が説明できない。(通じない)
治療上のことについて、質問ができない(通じない)。家族に内容を伝えられない。
訪問者に用件を質問できないか通じない。(通じない)用件を家族に伝えられない。
電話で応答できない。家族に内容を伝えられない。(いつ、どこ、何、誰)。
知り合いに電話をかけて用件が伝えられない。(通じない)
行き先が言えない。(通じない)
道順を尋ねられない。(通じない)
買い物をことばでできないか通じない。(なにをいくつ、いくら)
状況的依存度は3級と比べ低く家族以外のものに、日常生活動作に関することが説明できない。

脳動静脈奇形(AVM)とは

脳動静脈奇形(AVM)は一種の血管の奇形です。
身体の血管は普通動脈から毛細血管となり、そこで酸素や栄養を組織に与え、変わりに不要な老廃物を血液に取り込んで静脈となり、心臓へ戻ります。
AVMは動脈が異常な血管の塊を通って直接静脈と繋がっています。
AVMは普通無症状ですが、けいれんを起こして始めて分かる例があります。
またAVMは出血することがあり、脳内出血くも膜下出血の原因となります。
AVMの出血は若い人に多く、20-40歳台で発症しますから、若い人の脳出血とくに脳葉出血、くも膜下出血はAVMを疑います。
出血の頻度は年間2-3%程度と考えられていますが、一度出血したAVMは1年以内に再出血する率が6%と高くなります。

医療介護総合サイト・ウェブ・ドクターより抜粋。
くわしくは、↓
http://www.webdoctor.ne.jp/cgi-bin/WebObjects/101adef4170.woa/wa/read/102623dbcde/index.html%253Fpast=wdp.html

口腔ケアとは

口腔ケアとは

狭い意味では口腔清掃(口のなかの汚れ、歯に付着した汚れを除くこと)を指します。

広い意味では口腔清掃だけではなく、加齢や病気によって衰えてきた口の機能のリハビリテーションなども含みます。口腔ケアの目標は生活の質の維持・向上にあります。

口腔ケアにはセルフケア、介助者が行うケア、専門的口腔ケアがあります。

介護の必要な方や、ご病気の方は、特に口の中が汚れやすく、歯だけでなく、舌や頬、口蓋(上あご)なども汚れます。

口腔ケアは歯磨きではありません。口磨きと考えると良いと思います。

嚥下食(介護食)とは

ある文献によると、嚥下食(介護食) とは、摂食 ・嚥下障害者 に対 し、物性や食形態を重視 した均質性 としての嚥下訓練食、不均質性 としての嚥下食 ・介護食 か ら構成分類 されている。
とあります。

ちょっと難しいですね。

ちなみに嚥下とは、飲み込みのことをいいます。
誤嚥とは、何らかの原因で、上手く飲み込むことが出来ず、飲み物・食べ物などが気管・肺に入ってしまうことです。

簡単に言うと、嚥下食(介護食)とは誤嚥を予防・防止することができ、食べやすく、飲み込みやすい食事の形態のことをいいます。

嚥下食(介護食) 段階的にもちいることで、誤嚥の防止のほか、咽頭残留物の除去、直接訓練によるリハビリをが可能になります。
様々な形態の嚥下食(介護食)があり、嚥下障害の重症度によって食事の形態を使い分けていきます。

嚥下障害が残存した方などは、おいしい嚥下食(介護食)を食べていただきたいものです。

ガム・ラビング gumrubbing

ガムラビング gumrubbing

効果
①口腔内の感覚機能を高める
②唾液の分泌を促す
③嚥下運動を誘発させる
④こう反射を軽減させる
⑤顎のリズミカルな上下運動を誘発することがある

方法
口腔前庭部を4区画にわけ、その区画ごとに刺激する。
第2指の腹の部分を歯と歯肉の境目におき、前歯部から臼歯部に向かってすばやくリズミカルにこする。(1秒に2往復程度)
こするのは、前から奥に向かう時だけにする。


口腔ケアの場合は、過敏が解けてきたら口も容易に開いてくれるので、徐々に軟らかい清掃用具(スポンジブラシ等)からはじめ、軟毛の歯ブラシへと段階を踏んで道具を取り替えていきましょう。

ケアマネジメントオンライン参照
http://www.caremanagement.jp/?action_ad2_lion=true&page=vol32

Chin down(頭部屈曲位、頸部屈曲位、Chin tuck)

Chin down(頭部屈曲位、頸部屈曲位Chin tuck

直接訓練の際に誤嚥防止肢位として用いる。

頭部屈曲位は舌根が咽頭後壁に近づき咽頭腔をせばめるため、咽頭残留を減じ嚥下後誤嚥を防止する効果が高い。

頸部屈曲位は前頸部の緊張をゆるめ、喉頭蓋谷を広げるため、嚥下前誤嚥を防ぐ効果が高い。

頭部と頸部双方を屈曲させる複合屈曲位ではかえって飲み込みにくいことがあるため、頸部を屈曲させたまま頭部をやや突出させる方法も推奨されている 

主な対象者

頭部屈曲位:舌根後退と咽頭収縮が不十分で喉頭蓋谷に食物が残留し、嚥下後に誤嚥が生じる場合。

頸部屈曲位:頸部の緊張が高い場合や、嚥下反射惹起前に食物が咽頭へ流入し誤嚥する場合。


頸部前屈突出位:リクライニング位で摂食する場合。

具体的方法

頭部屈曲位は、頭部を後ろへ引くように上位頸椎を中心に屈曲させる。

頸部屈曲位は、お辞儀をするように下位頸椎を屈曲させる。このとき、頭部は屈曲させない。
頸部前屈突出位では、頸部を屈曲させやや顎を突出させる。

注意点など

いわゆる「あご引き」という用語が広く用いられているが、どの肢位を指しているか不明確である。
頭部屈曲位なのか、頸部屈曲位なのか、頸部前屈突出なのかよく理解して体位を調整する必要がある。なお、頸部回旋の項でも述べてあるが、一般に日本語では頭部を首(頸部)と同義で使用される 。嚥下に関しては、頭部と頸部では意味が異なることに留意し、用語を慎重に用いるようにしたい。

マイオフェイシャルリリース 筋膜の横断面リリース


マイオフェイシャルリリース 筋膜の横断面リリース

筋膜のつながりは頭尾側方向が優位ではあるが,横断面(腹背側方向)のつながりも重要である。特に,以下の5つのリリースは重要であり,これらの領域をリリースすることは,その周囲の垂直方向のストレスをリリースするためにも重要となる。


①骨盤隔膜リリース
一方の手を仙骨に当て,他方の手を骨盤上に置く。上下の手の距離が近づくようにリリースし,沈み込みや動きを感じたら逆らわずについていく。

②横隔膜リリース
一方の手の中指を剣状突起に合わせて手全体を下位の肋骨縁上に置く。他方の手を相対する位置で,遠位指節関節を棘突起に当てるように置いてリリースする。


③胸郭入ロリリース
一方の手は母指と示指を両鎖骨に添え,手掌全体を胸骨に置く。他方の手はC7・Tl・T2を被うように置く。鎖骨,胸骨,C1・2,第1・2肋骨などその周囲に付く筋群をリリースする。

④舌骨部リリース
一方の手は示指及び中指で舌骨を柔らかくつかむ。他方の手は中指の遠位指節関節がC7に当たるように棘突起に沿わせる。頚全体が,静かに伸びる感じになれば良い。

⑤後頭穎(こうとうえい)リリース
治療者の第2から4指の指先で環椎を支える。治療者の指腹から指先を支点として,頭部がベッドと平行になるようにバランスをとる。後頭下の組織が指先の圧力でリラックスし始めるに従い,患者の頭部が治療者の手掌の方に落下し始める。その間,治療者は指先をしっかりと立てて,腹側への圧を維持し続ける。最終的に組織がリラックスすると,環椎に対して後頭骨が背側へ滑ることで,環椎が浮き上がり頚部が伸張してくるような感覚が感じられる。引き続き,両側の指あるいは手掌全体で頭部を包み込んだまま,穏やかに頭側へ自然に伸張しても良い。これらにより,環椎後頭関節周囲の可動性を増すだけでなく,頸静脈孔周囲の組織をリリースすることで,舌咽神経や迷走神経,副神経などの機能を正常化し,副神経が支配する僧帽筋や胸鎖乳突筋の機能を改善する。なお,実施前に椎骨動脈テストなどのプレテストを実施するのが望ましい。





顎関節症の理学療法Ⅱ

竹井 仁

HiTosHi TAKEI, RPT, MS
School of Physical Therapy, Tokyo Metropolitan University of Health Sciences: 7-2-10 Hi,gashiogu, Arakawa-ku, Tokyo
I16-8551, Japan. +81-3-3819-1211
Rigakuryoho Kagaku 15(2): 49-54, 2000. Received Feb. 29, 2000.

より抜粋。
うーん勉強になります。






マイオフェイシャルリリース


マイオフェイシャルリリース

筋膜は,全体として身体のすべての他の要素を被っているため,膜組織どうしの異常な癒着は,筋膜とその深部にある筋組織などすべての組織で滑り合う性質や運動性を低下させ,円滑で機能的・効率的な運動や抗重力姿勢の保持を制限する。

顎関節症では,顎関節自体の生痕や炎症,筋スパズム,疾痛,痙縮,筋緊張異常,偏った筋活動などに加え,頭部や頸部のアライメント不良,異常勢,習慣的姿勢パターン,慢性的な身体ストレスや精神的ストレスなど種々の原因で筋膜の機能異常をきたす。これらの機能異常の結果として,顎関節に関与する筋膜の短縮や癒着,栄養障害,関節可動域制限,筋の廃用性萎縮・弱化,活動性の低下,循環不全,触知覚異常などを生じさせることとなる。

そこで,リリース(解きほぐす)によって筋膜のねじれを元に戻し,筋と筋の間もしくは筋と他の構成物の間の可動性や伸張性を改善し,筋やその他の構造物が正常に機能できるように助けるのが治療の目的となる。

深筋膜の制限を穏やかにリリースすることは,筋や血管,神経などへの異常な圧の軽減,疹痛の軽減,動きや機能の量と質の改善などを可能とする。リリースする際は,身体に合わせて手の全体を指先まで密着させる。治療者自身が手をリラックスさせ,筋スパズムの最初の障壁に達するまで交叉させた手でゆっくりとその筋膜の弾性要素を伸張する。
障壁に達した時点で,その障壁がリリ一スされるまで90秒から120秒間(長くても3分から5分間)十分な圧力を維持し,膠原要素もリリースし,リリース後はゆっくりと手を離す。技術の上達に合わせて時間は短縮する。強い力で無理に伸張するのではなく,皮膚のたるみがなくなるくらいの圧力(5~20g)を加えて伸張する。患者の皮膚が治療者の手の一部かのように感じとることが大切である。



顎関節症の理学療法Ⅱ

竹井仁 氏

HiTosHi TAKEI, RPT, MS
School of Physical Therapy, Tokyo Metropolitan University of Health Sciences: 7-2-10 Hi,gashiogu, Arakawa-ku, Tokyo
I16-8551, Japan. +81-3-3819-1211
Rigakuryoho Kagaku 15(2): 49-54, 2000. Received Feb. 29, 2000.
より抜粋

マイオフェイシャルリリースは嚥下の間接訓練としても応用できると考えられる。

体幹角度調整


体幹角度調整

直接訓練において、床面に対する体幹の角度を調整することにより、
①食塊を送り込みやすくする
②誤嚥を軽減ないし防止する
方法である。

主な対象者
食塊の送り込みが障害されている患者や、誤嚥の可能性のある患者で、小児から高齢者。
食塊の取り込み、送り込みなど口腔期の障害や、嚥下反射の遅れ、タイミングのずれなど咽頭期障害のある場合。

具体的な方法
床面に対する体幹の角度(矢状面での角度)を、90 度(すなわち垂直座位)ではなく、リクライニングさせて、床から 60 度(体幹角度 60 度と表現する)、30 度(体幹角度 30 度、「30 度仰臥位」とも表現される)などにする。頭頸部の角度と組み合わせて調整する。側臥位や水平位(仰臥位)で誤嚥が防止できる場合もある。

注意点
 嚥下障害が重度になるほど、リクライニングを強くしたほうがよい傾向があるが、単純な一般化は危険である。
リクライニングすることによって、頸部や身体全体の筋肉に緊張が出て嚥下が不安定になる、頭頸部の(過)伸展を招く、舌根沈下による呼吸障害が出るなどにより、嚥下が悪化するケースもある。体幹角度を変化させての嚥下造影検査と、それぞれの角度での嚥下状態の臨床的観察により、各患者にとっての適正な体幹角度を判断する。

強いリクライニング姿勢や水平位では、処理能力を超えた量の食物、水分が咽頭へ流入しやすくなり危険である。食物水分の量と性状に十分に注意しながら、直接訓練を進める必要がある。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。


身体障害者手帳について

STに関する障害者等級は以下のとおり。
臨床を行っている中で意外と忘れがち。
特に、回復期リハなどでは、「音声機能・言語機能またはそしゃく機能障害」
の項目を意識する必要があると感じた。
























詳しくは、

など参考にしてください。

一口量の調整


一口量の調整

意義
健常成人の液体嚥下時の一口量は1 mlから20 ml程度といわれている。
液体の至適嚥下量は17.9±1.58 mlとの報告がある。
咀嚼を必要とするような食物の一口量は 59 g 程度との報告がある
嚥下障害者では、一口量が少ない13 ml)と嚥下反射が起こりにくいことが知られている
しかし、一口量を多くすると、誤嚥したときにその量は多くなる。したがって、少ない一口量は相対的に安全性が高いと考えられる

主な対象者        
摂食・嚥下障害者全般、特に咽頭期障害。

具体的な方法
重度の摂食・嚥下障害に対する直接訓練では、誤嚥に対するリスクを小さくするため、12 ml 程度の少ない一口量から開始し、安全性を確認しながら徐々に量を増やす。
また、乳児の場合ではさらに少ない量(0.1 ml 程度~発達スライス型ゼリー平たいスプーン659に合わせて)で行う。
実際の食事場面では、高次脳機能障害、認知症などにより自分で一口量の調整が困難なときは、食具や食器の変更を試みる。例えば、小さいスプーン、吸い口のついたカップなどである。

注意点など
症例や病態による差があるので、個別に評価、対応する。
一口量が少ないと送り込みが難しい患者や、咽頭期嚥下が誘発されない患者では、嚥下造影などで適量を確認するとよい。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。


スライス型ゼリー丸飲み法

スライス型ゼリー丸飲み法

嚥下しやすいスライス型食塊を外でつくり、そのまま丸飲みしてもらうことで誤嚥や残留を予防できる。

主な対象者
仮性球麻痺、球麻痺、舌切除、その他口腔・咽頭・喉頭などの術後、摂食訓練のごく初期、食塊形成困難、咽頭残留、食道入口部開大不全のある場合などに使用する。指示を守れず咀嚼してしまう患者は対象外とする。

具体的な方法
ゼラチンゼリーなど軟らかく滑りやすい食品を使用する。山型に盛り上がったゼリーより、薄くスライス型にしたゼリーは崩れにくく、咽頭、食道入口部をよりスムーズに通過することを利用している。
送り込みが悪い場合は奥舌に入れる。
小さめで平たいスプーンを利用することがコツ。

注意点など
頸部が伸展していると丸ごと誤嚥される場合があるので、必ず頸部前屈(送り込み困難例ではリクライニング位)とする。
咀嚼せずに丸飲みができない患者には使用できない。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。


食品調整(Diet modification)


食品調整(Diet modification

意義
食物や水分の性状を調整することによって、食塊形成の障害や咽頭残留・誤嚥などの問題を、代償・軽減・防止する。

対象患者
咀嚼機能の障害や誤嚥の可能性のある例で、小児から高齢者までの患者。

具体的方法
食材や液体の種類の選択、調理、増粘剤の使用などにより、consistency(かたさ、やわらかさ)、viscosity(粘度、流動性)、cohesiveness(まとまり度)、adhesiveness(付着性)などのテクスチャー(texture;性状、物性)を調整する。
どのようなテクスチャーがその患者にとって適切かは、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査によって確認されることが望ましい。
なお、嚥下造影では、実際に摂食する食品に近い物性のバリウムを含む検査食(従来は模擬食品と呼ばれていた)を用意する必要がある。

注意点
 嚥下障害の患者にとって望ましい texture は、
①軟らかく、性状が均一
②適当な粘度があってバラケにくい
③口腔や咽頭を通過するときに変形しやすい
④べたつかず、すべりがよい(粘膜に付着しにくい)である。
 一般に、低粘度の液体(very thin liquid)より、粘度の比較的高い液体(thick liquid)のほうが誤嚥が軽減し、さらに、液体より、まとまりの保たれる半固形物(semisolid)が誤嚥されにくい。
粘度のある液体でも中粘度か高粘度によって異なってくるが、粘度を高くすることにより付着性が高くならないように、注意が必要である。
味が本人の好むものかどうかも、咀嚼嚥下に大きく影響する。
増粘剤の使用により texture を変化させる際に、付着性とともに、味が変化する可能性にも十分な留意が必要である。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。


ストローピペット法 (交互嚥下と類似摂食訓練)

ストローピペット法

コップから水分をとれない場合、ストローの先に少量(56 mm 程度; 12 ml)の冷水をとって口に含んで飲む(小さいスプーンに少量の水をすくって口に運んでもほほ同じ)。

意義
交互嚥下と同じ。
異なった性状の食べ物を交互に嚥下することで、咽頭残留の除去につながる。

主な対象者
咽頭残留があり、自発的な複数回嚥下が起こりにくい患者。

具体的な方法
固形物と流動物(またはストローからの冷水)を交互に嚥下させる。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

東大など、食事摂取時の複雑な舌運動を定量化できる3次元力センサを開発

東大など、食事摂取時の複雑な舌運動を定量化できる3次元力センサを開発

東京大学(東大)は、口蓋に貼り付けられる小型極薄の3次元力センサを開発し、実際に計測して食事摂取時の複雑な舌運動を定量化したことを発表した。東大IRT研究機構の下山勲教授らと、大阪大学、TOUCH、明治による共同研究で、成果は2月2日までフランスで開催されている国際学会「MEMS2012(The 25th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」および2月23日・24日に開催予定の「第27回日本静脈経腸栄養学会」で発表が行われる。
人は、飲料や食品を飲み込む際に、舌を口蓋に押し当てて、飲料や食品を咽頭および食道へ送り込む。そのため、嚥下動作のメカニズムのカギとなる舌の動きの計測を行うためにさまざまな方法がとられてきた。従来の舌の動きを計測する手法としては、人体への影響が大きい刺入電極による筋電位計測法や、像がぼやけてしまうX線観察法、口蓋に貼り付けた圧力センサシートを用いて舌が口蓋に接触する圧力を計測し接触位置を求めて舌の運動を推定する方法などがあった。
今回の研究では、口蓋に貼り付けられる小型極薄の「せん断力」を計測することが可能なセンサを開発(画像1・2・3)。口蓋に対し、舌を前後左右にすり動かす時に生じるせん断力を直接的かつ非侵襲に計測できるようにしたというわけだ。その結果、従来の圧力センサシートなどではわからなかった、嚥下時の舌の3次元的な運動の活動量が判明したのである。

センサ表面は、体内に入れても安全なシリコンゴムで構成されており、内部にシリコンピエゾ抵抗カンチレバーが埋め込まれ、シリコンゴムの変形を3次元的に計測する仕組みだ。センサのサイズは7mm×6mmと小型で、厚さも0.8mmと薄いため、人間の咀嚼嚥下動作を阻害することなく、舌の動きを計測することができるのである。
飲料水を嚥下した際に舌が口蓋に及ぼす、前後方向のせん断力および左右方向のせん断力を計測し、それらのセンサ出力値を積分した値を舌の活動量とし、官能評価と比較した結果、飲み込みやすいと評価された食品は、そうでない食品と比べて前後方向、左右方向ともに、舌活動量が有意に小さいことが判明したという。
また、舌の左右方向の活動量に着目すると、通常の飲料水の場合、水が口腔内で拡散するために、舌が左右に細かく動いて水を舌の上にまとめるために舌活動量が大きくなるのに対して、増粘飲料水の場合は、舌の上で水がまとまって広がらず、左右の活動量が少なくなることもわかった。
このような飲み込みの際の3次元的な舌の動きが定量的に把握できると、従来の圧力センサシートなどの計測ではわからなかった、口腔内での食物の流れや食事摂取時の複雑な舌の運動を3次元的にとらえることができ、嚥下障害を有する高齢者や小児に向けた食品開発に役立つと、研究グループではコメントしている。

マイナビニュースから参照
http://s.news.mynavi.jp/

交互嚥下

交互嚥下

異なる形態の食塊が交互に入ることが、咽頭残留の除去に物理的に有利に働く。
特に、べたつきやぱさつきのある食物の後にゼラチンゼリーを与えると、口腔残留や咽頭残留がクリアされる。
このことから、食事の最後はゼラチンゼリーで終了するとよいとされている。
咽頭残留に限らず、口腔や食道の残留にも効果がある。

主な対象者
咽頭残留のある患者。

具体的方法
固形物と流動物を交互に嚥下させる。
汁物でむせる症例では、汁物をごく少量とするのがコツ。
べたつくものとゼラチンゼリーや残留の少ないゼリーとの交互嚥下がよく行われる。
水分誤嚥のない場合には水が最も残留が少なく、かつ残留した場合でも汚染につながらないため、食事の最後には水(ないしお茶)を嚥下するとよい。
これは、われわれ一般人でも同様である。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

横向き嚥下(頸部回旋嚥下 Head rotation*)

横向き嚥下(頸部回旋嚥下 Head rotation*)


横向き嚥下の効果


頸部を回旋すると咽頭腔の形態が変化し、食塊が咽頭の非回旋側へ誘導されます。

また、非回旋側の食道入口部静止圧が低下することも知られています。

横向き嚥下はこれを応用して、咽頭残留の軽減や誤嚥の防止を期待する手技となります

横向き嚥下は、嚥下前から頸部を回旋する「嚥下前頸部回旋」、嚥下後に頸部を回旋して嚥下を追加する「嚥下後頸部回旋空嚥下」とがあります。

主な対象者


咽頭機能に左右差があり、片側性の咽頭残留を認める例が対象となります。

具体的な方法


咽頭機能の悪い側(患側)に頸部を回旋し嚥下をします 

回旋の程度は近年45°程度が良いといわれています

実際には、嚥下造影(正面像)などで効果を確認して行うことが望ましいです。

回旋のタイミングは捕食前からが確実ですが、口腔保持ができて咽頭流入に伴う誤嚥のリスクが少なければ、嚥下直前に回旋しても効果があるとの報告があります(嚥下前頸部回旋)。

また、嚥下後に残留がみられたとき、非残留側に回旋して空嚥下を行って残留の除去を試みる方法もよく行われています(嚥下後回旋空嚥下)。

注意点など


最大可動域位(正常者では70度とされるが、人によって異なる)では、過度な努力による筋緊張が嚥下に悪影響を及ぼしうるので注意する必要があります。

無理のない頸部回旋を行いましょう。

特に、頸椎疾患やその術後患者では注意が必要です。

仰臥位では、回旋側が下側になり、食塊が重力で回旋側に誘導されるので注意する。

このときは、健側を下にした側臥位を併用して対処すると良いです 


*英語圏ではhead rotationであるが、本邦では「頸部回旋」とされる。英文でneck rotationという用語はほとんど用いられない。
Headと「首(頸部)」に関する、日本と西欧の言語感覚の相違がある。

嚥下の意識化(Think swallow)

嚥下の意識化(Think swallow

通常、無意識に行われる嚥下を「意識化」することで、嚥下運動を確実にし、誤嚥や咽頭残留の防止に役立つと考えられている。

主な対象者
偽性球麻痺(仮性球麻痺)、高齢者全般などで、特に嚥下の送り込みと嚥下反射や喉頭閉鎖のタイミングがずれて誤嚥しやすい人。水やある特定の食品だけがむせるという場合は特に有効。

具体的な方法
食事、嚥下に集中するように声かけをしたり、静かな環境を整えたりする。

注意点など
認知症や失行がある場合は、逆効果になることもある。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

K-point 刺激

K-point 刺激 嚥下


偽性(仮性)球麻痺患者に対して嚥下反射を誘発したり、開口を促したりすることができる。

主な対象者


重症偽性球麻痺(仮性球麻痺)で食塊を口に入れても嚥下が誘発されない場合。咬反射のために開口不可で食塊を口に入れることができない、口腔ケアができない場合。

具体的な方法


嚥下を誘発する場合は、図のK-point(★印)を湿らせた綿棒や凍らせた綿棒(アイスマッサージ棒)、スプーンや舌圧子で軽く刺激(さわる程度)する。有効な場合は、咀嚼様運動に続いて嚥下(空嚥下)が誘発される。食品を口に入れても嚥下してくれない患者の場合は丸飲みしてもよい食品を口に入れた後に K-point 刺激をすると、引き続いて嚥下が起こる。咬反射のために開口してくれない場合、Kpoint 刺激をしている間は開口が促されるために、口腔ケアができる。


注意点


左右差がある場合は、有効なほうを刺激する。刺激により粘膜を傷つけないようにする。


メンデルソン手技

メンデルソン手技(Mendelsohn* maneuver


意義


舌骨喉頭挙上の運動範囲の拡大と、挙上持続時間の延長を目的とする。メンデルソン手技を用いた場合に残留と誤嚥が減少したと報告され、代償法として有用と考えられる。また、メンデルソン手技を用いて訓練した後に嚥下機能が改善し、持続効果もあるという報告があり、リハビリテーション機能訓練としても有用であると考えられる。

主な対象者


機能的原因(特に球麻痺)、器質的原因。舌骨喉頭挙上不全、咽頭収縮不全等により咽頭残留があり、誤嚥する危険性がある場合。

具体的な方法


舌骨喉頭挙上(hyolaryngeal elevation)と咽頭収縮(pharyngeal contraction)がピークに達した時点で嚥下を一時停止するように指示し(嚥下したとき、のどぼとけが最も高い位置に保つように指示する)、この状態を数秒間保った後、力を抜いて嚥下前の状態に戻すように指示する。はじめは訓練者が手を添えて喉頭挙上を介助するのもよい。
表面筋電図(surface electromyography)を用いたバイオフィードバックを利用することもできる。

注意点など


メンデルソン手技の欠点は、患者にやり方を指導するのが難しいというということである。のどぼとけがいちばん上に上がったときに、のどの筋肉に力を入れ、のどを絞めるようにして数秒間その状態を保つように指導する方法もある。メンデルソン手技を正しく行うと、咽頭期嚥下時間の延長によって嚥下性無呼吸時間(apneic phase of theswallow)が長くなるという面がある。無呼吸時間の延長は、呼吸器疾患の患者や、重度の嚥下と呼吸の協調不全患者には禁忌である。

バイオフィードバック

バイオフィードバック(Biofeedback

意義
通常は意識しない生体の現象を、工学的機器などにより、主に視覚や聴覚で感知できるようにすることで、フィードバックの情報として提示し、その現象をコントロールしようとする行為。
摂食・嚥下リハビリテーションの分野では、
嚥下内視鏡を用いて、喉頭運動を目視しながら声門閉鎖とそのタイミングを訓練する方法
表面筋電図を用いて喉頭挙上筋群の筋活動を視覚あるいは聴覚で感知できるようにして喉頭挙上を強化する方法
圧センサーを用いて舌圧をモニター、視覚化して舌の筋力強化訓練を行う方法
などがある。

主な対象者
認知機能に問題のない摂食・嚥下障害、喉頭閉鎖障害、喉頭挙上障害、舌運動障害などに施行した報告がある。

具体的な方法・注意点など
目的とする生体現象による。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

軟口蓋挙上装置

軟口蓋挙上装置(Palatal Lift ProsthesisPLP

意義
軟口蓋挙上装置は、軟口蓋の運動障害による鼻腔閉鎖不全が認められる患者に対して用いられる装置であり、床の口蓋部後縁より軟口蓋挙上子を延長して作製する。
軟口蓋挙上子により機械的に軟口蓋を挙上させて、構音時、嚥下時の鼻咽腔の閉鎖を図る。本装置の目的は構音機能の回復にあると考えられてきたが、最近では、挙上子の形態を工夫することによって嚥下機能の改善も同時に図れることが報告されている。
ただし、発音時とは異なる嚥下時の軟口蓋運動を妨げないように、装置を調整することが必要な場合もある。
本装置の装着は即時的効果をもつ。
その長期装着による効果も報告されており、軟口蓋挙上子の刺激が知覚を賦活する可能性もある。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

努力嚥下

努力嚥下、エフォートフルスワロー(Effortful swallowHard swallow

意義
力を入れて飲み込むことにより、舌根部の後退運動を強め、喉頭蓋谷への残留を減少させる。

主な対象者
舌根後退運動が低下し、食物が喉頭蓋谷に残留する患者。

具体的方法
舌に力を入れ口蓋に強く押しつけながら嚥下する。嚥下に関するすべての筋肉に力を入れて絞り込むように飲み込む。実際に食塊を用いる場合は、食塊を上後方へ送り込むことを意識させる。

注意点など
血圧上昇など。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

電気刺激療法

電気刺激療法(Electrical stimulation therapy

意義
リハビリテーションにおける電気刺激療法には、治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation; TES)と機能的電気刺激(functional electrical stimulation; FES)とがある。前者は、廃用筋の改善、脱神経筋萎縮の予防、痙縮の抑制や鎮痛などの目的で行う方法。後者は、麻痺をした筋肉や末梢神経を電気的に制御して機能的な動きを生み出す方法である。摂食・嚥下リハビリテーションでは、治療的電気刺激として表面電極で経皮的に舌骨周囲筋群などを刺激し、筋収縮を得ながら一定の嚥下訓練を行う方法が報告されている 12
。機能的電気刺激については、嚥下時の喉頭挙上運動の再建が研究されているが、いまだ臨床応用はされていない。

対象者
脳損傷による咽頭期嚥下障害など。

施行方法・注意点
通常の経皮的電気刺激では、表在筋が刺激されやすく、深部筋は刺激されにくい。したがって、比較的深部にある舌骨周囲筋群のみを刺激することは困難で、表在筋である広頸筋も同時により強く刺激される。また、喉頭下制筋群は喉頭挙上筋群より表在性なので、より刺激されやすく、刺激時には喉頭挙上が制限される 3、などの性質がある。
これらのほか、使用する刺激装置の特性などを熟知して使用する。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

嚥下反射促通手技

(前頸部皮膚用手刺激による)嚥下反射促通手技

意義
前頸部を軽擦することにより、嚥下反射の惹起を促す。直接訓練の際、嚥下反射惹起に時間を要する場合に用いる。

主な対象者
嚥下反射惹起性が低下している場合。認知症、嚥下失行等により送り込み運動が停止する場合。

具体的方法
患者に飲み込むよう指示し、甲状軟骨部から下顎下面にかけて指で上下に摩擦刺激を繰り返す。

注意点
頸部を伸展させないこと、またあまり強く皮膚を押さないことに注意する。

舌接触補助床

舌接触補助床(Palatal Augmentation ProsthesisPAP

切除や運動障害を原因とした著しい舌の機能低下により舌と硬・軟口蓋の接触が得られない患者に対して用いる「上顎義歯の口蓋部を肥厚させた形態の装置」、または「口蓋部分を覆う装置」。上顎に歯の欠損がある義歯装着者に対しては、義歯の床を舌機能低下に応じて肥厚させて作製し、上顎に歯の欠損がない患者に対しては、口蓋部分を被䋱䋮䋲䋮㩷䋳䋮653
覆する床を舌機能低下に応じて肥厚させて作製する。口蓋の形態を変えることで舌の機能低下を補い、摂食・嚥下障害や構音(発音)障害の改善を促す。摂食・嚥下障害に対する効果としては、頭頸部癌術後患者において PAP を装着することにより、食塊の送り込みを容易にする効果や、嚥下効率の改善に効果があることが文献的に示され、VF 見として、食塊の口腔通過時間の短縮や咽頭通過時間の短縮が報告されている。また、舌と PAP の接触が得られることにより、舌運動を賦活化させ、アンカー機能により舌根後方運動が増強されることも報告されている。

咳・強制呼出手技またはハッフィング

咳・強制呼出手技またはハッフィング(Coughing Forced expiration or Huffing

咽頭貯留物、喉頭侵入・誤嚥物を排出させる目的で行う。

主な対象者
下咽頭貯留、喉頭侵入、誤嚥が疑われる患者。

具体的方法
できるだけ深く吸気を行わせた後、強い咳をするよう指示する。十分息を吸い込まずに咳をしてしまう場合は、再度深く吸気を行わせてから強い咳をさせる。強制呼出手技(ハッフィング)の場合は、深く吸気を行わせてからできるだけ強く最後まで呼気を出させる。このとき、頭部が気管よりも低くなるよう前傾姿勢をとらせ重力が利用できるようにすると、排出効果が高まる。

注意点
あまり激しく行うと、嘔吐が誘発されることがある。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

頸部突出法

頸部突出法

下顎骨(舌骨)喉頭連結術(いわゆる棚橋法)術後患者において、下顎を前突させることにより連結された喉頭を前方に引き出し、食塊の送り込みに合わせて食道入口部を意図的に開く方法。本来中枢制御により行われる咽頭期嚥下の運動を随意的(意図的)に発動させ遂行させるものである。

主な対象者
棚橋法術後患者が対象であるが、一部の球麻痺患者の輪状咽頭嚥下障害に対しても有効なことがある。

具体的な方法
頸部を前屈した位置から、食塊の咽頭への送り込みのタイミングに合わせて顎を前方に突き出す。棚橋法の術後のように下顎と舌骨、甲状軟骨が手術でつながっていて、輪状咽頭筋が切断されている場合には、下顎の前方への動きで食道入口部が開き、食塊の通過が可能となる。ちょうど「鵜」がものを飲み込むときのようにみえるので、藤島は「鵜呑み法」とも呼んでいる。下顎の突出を促す方法として頬杖をつく方法もある。

注意点など
本法は基本的に棚橋法の術後に行う方法であるが、輪状咽頭筋切断術だけの場合も頸部突出はかなり有効である。
手術を受けていない症例では無効であるが、時にこの方法で食道入口部が開く場合がある。実施する場合は VF など
で評価して行うことを推奨する。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

息こらえ嚥下

息こらえ嚥下(法)< Supraglottic swallow>(声門閉鎖嚥下法、声門越え嚥下法)


嚥下中の誤嚥を防ぐと同時に、気管に入り込んだ飲食物を喀出する効果がある。嚥下動作前と嚥下動作中に、声帯レベルでの気道閉鎖を確実にするために工夫された手技である。

主な対象者


嚥下中に誤嚥をきたす患者。適応となる嚥下障害は声門閉鎖の遅延または減弱あるいは咽頭期嚥下の遅延を認める症例。

具体的な方法


飲食物を口に入れたら、鼻から大きく息を吸って、しっかり息をこらえて、飲食物を飲み込み、咳払いをする、あるいは口から勢いよく息を吐き出す。意識的に息こらえをすることにより、嚥下動作直前から嚥下動作中に声門を閉鎖する。遅延の間も声門を閉鎖する。

強い息こらえ嚥下法、喉頭閉鎖嚥下法< Super-supraglottic swallow>


これは嚥下動作前、嚥下動作中に、喉頭前庭部での閉鎖を確実にするために工夫された手技である。適応となる嚥下障害は、喉頭前庭から仮声帯部の閉鎖の減弱を認める症例である。強く息こらえをすることにより披裂軟骨は前方に傾斜し、嚥下動作直前から嚥下動作中に喉頭前庭から仮声帯部の閉鎖を促進する。

< Pseudo-supraglottic swallow> 基礎訓練として、食物を使わずに「大きく息を吸って空嚥下をし、その後息を吐き出す」方法。

注意点など


ポイントは鼻から息を吸い、口から吐き出すこと。飲食物を口に含んだままで息を吸うと、気管に吸い込む危険がある。口腔内に飲食物を保持できない患者は不適応である。

* 名称について:本法は supraglottic laryngectomy 手術後に声門レベルで誤嚥を防止する手技として開発され、Logemann により命名されている。指導法として、「息をこらえる」ように患者に指示することからBreath-hold maneuverとも呼ばれ、本邦では「息こらえ嚥下(法)」と呼ばれることが多い。しかし、息をこらえただけでは声門が閉鎖しない人も多く、本法の目的が声門閉鎖ということであれば、「声門閉鎖嚥下(法)」と呼ぶほうがよいのではないかという意見もある。なお、強い息こらえ嚥下法、喉頭閉鎖嚥下法< Super-supraglottic swallow>も含めて随意的気道防御法(手技)voluntary airway protection と呼ばれることもある。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

のどのアイスマッサージ

のどのアイスマッサージ

凍らせた綿棒に水をつけ、前口蓋弓のみならず、舌根部や咽頭後壁の粘膜面を軽くなぜたり、押したりして、マッサージ効果により嚥下反射を誘発する方法である
Thermal stimulation ないし tactile-thermalor thermal-tactilestimulationor applicationとは異なる手技である。

主な対象者
随意的嚥下ができない患者全般。意識が低下している、指示に従えない、開口してくれない、などの患者にも実施可能。基礎的嚥下訓練としてばかりでなく、摂食前の準備として、あるいは食事中に動きが止まってしまったときの嚥下誘発にも広く用いられている。

具体的方法
前口蓋弓からgag が消失している患者では、舌根部から咽頭後壁を凍らせた綿棒に水をつけて刺激し、その直後に空嚥下を促す。

注意点など

咽頭反射(gag)が強い場合には行わないこと。綿が棒からはずれないようにしっかり巻き付けた綿棒を使用すること。
















http://www.shikayobou.com/training/img/seventh/zu3.gif


日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

冷圧刺激 アイスマッサージ 嚥下訓練

冷圧刺激 アイスマッサージ 嚥下訓練Thermal-tactile stimulation

前口蓋弓に冷温刺激や触圧刺激を加えることで、嚥下を誘発するための感受性を高め、実際に嚥下するときに咽頭期の誘発を高めるとされている。

主な対象者
嚥下反射惹起不全など。

具体的な方法
刺激子には、凍らせた綿棒、氷で冷やした間接喉頭鏡、舌圧子、スプーンなどを用い、口腔咽頭境界または口蓋弓に対して冷刺激を行う。レモン水などで味覚刺激を加えることもある。
Logemann1による手順では、患者に口をあけてもらい、冷やしておいた間接喉頭鏡の背面を、前口蓋弓の基部に付け、上下に 5 回こする。左右あわせて 1015 分行い、これを 1 日に 45 回繰り返す。しかし、どのくらいの回数や頻度が効果的か 2、冷温・触圧・味覚のどの刺激が効果的か 3、調査した研究はあるが、いまだ定説はない。臨床では、前口蓋弓のみでなく奥舌にも刺激を与えてから唾液嚥下を促すなど、直接訓練の前段階に間接訓練として行ったり、食べはじめに起こりやすい誤嚥の防止のために食前の準備運動として行うなど、広く用いられている。また、口の中に食物を溜めたまま嚥下運動が起こらない患者に対する、嚥下開始の誘発法としても有効である 4



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

プッシング・プリング訓練

プッシング・プリング訓練(Pushing exercise/Pulling exercise

押したり持ち上げたりといった上肢に力を入れる運動により、反射的に息こらえが起こることを利用して、軟口蓋の挙上、声帯の内転を改善させることを目的とした訓練。

主な対象者
脳血管障害、末梢性反回神経麻痺、挿管後など局所的な感覚運動低下により声門閉鎖不全がある場合。

具体的方法
1  壁や机を押す、肩からこぶしを振り下ろす等のプッシング動作を練習。
2  動作とともに強い発声をする。
3  ある程度、響く声が出るようになったら、徐々に動作を減らしていく。

プッシング動作のかわりに、椅子の底面や肘掛けを引っ張ったり、両手を前でつないで外方へ引っ張るというプリング動作でもよい。
上肢の運動麻痺や認知障害の状態によって使いわける。
また、声を出さずに強い息止めだけを行う方法もある。
実際に期待した運動になっているかどうか、内視鏡での確認が必要である。

注意点など
高血圧、不整脈など循環器疾患がある場合には、症状を悪化させる場合があるため適応を十分に検討する。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。

ブローイング訓練

ブローイング訓練(Blowing exercise

吹く動作(口腔気流)により鼻咽腔が反射的に閉鎖されることを利用して、鼻咽腔閉鎖に関わる神経・筋群の機能を改善させる。
また、ソフトブローイングは気管内圧を上昇させ、気道の虚脱を防ぐ効果や呼気持続時間を延長させる効果など、口すぼめ呼吸と同様の効果が期待できる。

ソフトブローイングに対し、玩具のラッパや細く切ったティッシュペーパーを吹くハードブローイングという方法がある。
これは主に、ソフトブローイングが困難な年少児や重度な軟口蓋麻痺患者の評価として用いる
異常な呼気運動や鼻腔への呼気誘導を助長させる可能性があるので、訓練としての適用には注意が必要である

主な対象者
鼻咽腔閉鎖不全により水分、食物が鼻咽腔へ逆流する場合、呼吸機能低下がある場合。

具体的方法
コップに水を入れ、ストローでぶくぶくと泡が立つように吹く。
うまく泡立たないときには指で鼻をふさいで介助し、徐々に介助を減らしていくとよい。
さらに、ストローの太さや長さを変える、コップの水の粘度を変えるなどによって、難易度を調整する。
ストローでコップの水を吹くかわりに、ろうそくの火や細く裂いたティッシュペーパーを吹いてもよい。

注意事項など
あまり過度に行うと、過呼吸になるおそれがある。
なお、鼻咽腔への逆流は、食道入口部の開大不全など下咽頭の圧の影響も受けることがあるので、鼻咽頭逆流現象がみられても鼻咽頭機能閉鎖不全と即断してはならない。
内視鏡で鼻咽腔閉鎖機能を確認するとよい。



日本摂食・嚥下リハビリテーション学会より参照。